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守護騎士。
それは王族を守る騎士のこと。
一定の年齢に達すると、その王族自らが選び出す。
現王妃はある勇者を選び、今その人は勇者王を名乗っている。
ちなみにギニアスは今は王の座を引退した王妃の父親の守護騎士であった。
少しの間だけ王妃の守護騎士もやっていたらしい。
さらに、魔王との戦いの折には勇者王の守護騎士として活躍していたそうだ。
今はリナンシアスの守護騎士が決まるまでの仮の守護騎士。
ギニアス、かなり重宝されているなー。
そりゃ、あれだけ強ければ務まるわ。
そして、リナンシアスに選ばれた俺。
「お母様みたいに勇者が守護騎士をやってくれたらいいなぁ、って思ってたんだ♪」
無邪気なやつである。
てか、そんな安易な理由で選ばれるもちょっと複雑なんだが・・・。
「キリを選んだのはそれだけが理由じゃないぞ?」
「かっちょいいから?」
「確かにそれもあるが・・・。」
照れ照れなリナンシアス。
自分からふっておきながら俺も照れたり。
「照れてないで腕を上げてください。」
「うぃ。」
メイド長に言われた通り素直にバンザイする。
今、何をやっているかというと・・・採寸なのである。
今日リナンシアスが訪ねてきたのは、守護騎士になることへの再確認。
と言っても、答えは決まっていたのですぐに次の作業に。
守護騎士としての正装のことであった。
いくつかの候補を持参していたリナンシアス。
今日はお忍びではなく、正式な訪問だったのでお供をたくさん引き連れていた。
もちろんギニアスも一緒である。
そして、お供と一緒に荷物もたくさん持ってきていた。
それがほとんど衣装のたぐいだったのは驚いたが・・・。
俺のために持ってきてくれたのはありがたいと思う。
で、色々合わせてみたのだよ。
重厚な鎧、軽鎧、騎士鎧や魔法の鎧。
結論として、俺は動きやすさを重視したいというものに至ったわけで。
せっかく持ってきてくれたのだが、鎧はやめました。
それでも候補はまだまだある。
俺はその中から白い外套を選んだ。
外套というか、法衣に似てるかもしれない。
黒の刺繍が文字に似た幾何学的な模様を描いている。
それとジーンズ、ジャケットなどを選んでゆく。
・・・あれ?普段着になってしまうのでは?
と思っていたのだが、これらのほとんどがマジックアイテムだそうな。
ちなみにマジックアイテムとは、特殊効果が付与されたアイテムのこと。
魔術がかかっているものだけを示すものではない。
「確かその白い外套は、全属性攻撃を半減にする効果があるらしいぞ?」
リナンシアスの言葉にギニアスが頷く。
メイド長に尋ねてみると、それはかなり凄いらしい。
さすがはお姫様、良い物を持っている。
本音はいまいちよくわからんのだがね。
「キリが選んだもの全部、何らかの力が付与されているから覚えておくように。」
「いえす、まいろーど。」
と言っても英語は通じないのでスルーされるのである。
で、インナーに関してはオーダーメイド。
なんか有名な金属を使って作るそうだ。
ベンドに唯一それを扱える鍛冶師がいるらしく、採寸が終われば即注文するみたい。
「確かギニアスも持っていたよな?」
「えぇ。ですが、私にはこの鋼の肉体がありますから!」
ふんっ!と気合を込めると、あっさり上半身の服がはじけとぶ。
ポージングを決めて筋肉を魅せつけるギニアス。
・・・ナルシストめ。
「ちなみに、ちゃんと頂いたものは保管しておりますぞ。」
新たに用意されたタキシードを身に付けながら付け足す。
散らばった服を片付けるメイドがなんだかかわいそうだ。
なんだかんだで採寸が終わる。
実はこの間、パンツ一丁だった俺。
・・・だって正確にサイズを測るって言うんだもん・・・。
目で犯された気分である。
「筋肉が足りませぬな。もっと鍛えてくだされ。」
「でも、思ったより肩幅広いぞ?」
「ウエスト細いですね。」
「女装は・・・ちょっと無理がありますか。」
いつのまにか現れたエイラさんと真矢。
手の込んだことにメイド服に着替えて紛れていたのである。
……エイラさんって案外ノリがいいんだな。
それにしてもこいつら好き勝手言い放題だ。
「・・・てか、もう服着てもいいかな?」
俺を放置して盛り上がるんじゃねぇよ……。
一抹の寂しさを感じながらメイド長に手伝ってもらって着替える。
「苦労しますね。」
メイド長の言葉に俺は苦笑い。
「良くも悪くも個性が強いのばかりなんだよなぁー。俺はこんなに普通なのに。」
「いえいえ、ご謙遜なさらずに。」
……謙遜してるつもりは無かったんだけど、メイド長から見れば俺も奴らと同列らしい。
「そんな馬鹿な!?」
「はいはい、腕上げてくださーい。」
「……。」
あっさり受け流されてしまったので、無言でバンザイする俺。
むぅ、俺はもっとクールな感じが売りだったような……?
着替え終わって、恒例のティータイム。
メイド服が気に入ったのか、エイラさんと真矢はそのままの格好で参加。
「なぁ、キリ。」
「なんだぃ?リナ。」
長いので省略してやった。
「エイラとマヤはなぜあの格好をしているのだ?実はこの屋敷で働いているのか?」
俺が聞きたいぐらいの疑問だ。
まぁ、確かにエイラさんは雇われの身だが。
「騎理の趣味ですよ。これを着ろと脅されました。」
「はぁ!?」
捏造疑惑!
そんなことを言った覚えは断じてありません!!!
「私は自分の趣味ですが。」
エイラさんの意外な趣味が発覚!
いや、だとしても着るきっかけがわからん。
「騎理が寝てる時に言ったんですよ。
『メイドになってくれなきゃ魔王倒さなーい!』って。だから仕方なく。無理矢理。」
「俺はだだっ子か!しかも、それ寝言じゃないか!まにうけるなよ!」
澄ました顔で香茶を飲む真矢に、果たして俺の言葉は届いているのだろうか?
たぶん聞いちゃいねぇな……。
「ふむ、騎理と真矢は寝言を聞くことが出来る関係ですか。ふーん。へー。」
「えぇ!?なんでちょっと不機嫌オーラがにじみ出てるんですか、エイラさん!?」
「別に〜。」
「実はですね。俺、誰かが側にいないと寝れないんですよ。
だから添い寝してもらうだけなんです。ね、メイド長さん?」
「はい。毎日取っ替え引っ替えです。」
「その言い方はなんか誤解を招く気がするんですけどぉ!?」
味方だと思っていたら、実は敵だったなんてことはよくあることなのかもしれない。
そんなあるあるネタはいらん。
「よし!ならば、私がメイド服を着て添い寝してやる!それが主の務めというものだ!」
リナはリナでなんだか勘違いな発言である。
そもそも、メイド服に関しては寝言だし。
……いや、深層意識では求めていたのか!?
自分では気付かなかった一面ってやつなのかもしれない……。
「姫様にそのような格好はさせられませぬ!使用人の服装など言語同断!」
今のセリフでギニアスは屋敷のメイドを敵にまわした!
「えぇ〜?可愛いのに〜。」
「……単に着たかったのか?確かに似合いそうだけど。」
「だろう?真矢やエイラが着たくなるのも理解出来る。」
「別にあんたのために着たんじゃないんだからね!自分が着たいから着たのよ!」
「ツンデレでもなんでもねぇな……。」
真矢の萌え要素がメイド服しかないぜ。
「むー、私も着たいなぁー。」
「用意しましょうか?すぐに用意出来ますよ?」
メイド長が答えるが、ギニアスは首を縦に振らない。
「なりませぬ!しかし、どうしてもとおっしゃるなら!
この私が!メイド服を纏い、騎理様の添い寝を成し遂げましょうぞ!!!」
クワッ!と眼を見開いて体に力が込められると、再びタキシードがはじけ飛び上半身がさらけだされた。
……このおっさん、やっぱり見せたいのか?
「もうあんた帰れ!」
「……私も正直帰ってほしい。」
「ガーン!ひ、姫様まで!?」
リナの容赦無い言葉で目に見えて落ち込むギニアス。
同情の余地は無いけどな!
……あー、改めて実感したけど、やっぱこいつら楽しいなー。
こんな平穏が未来永劫続けばいいのに。
めんどくせぇこと抜きにして日々を過ごしたいもんだ。
……なんつーか、一時の面倒事をサクッと片付けて、後はのほほんと過ごしたい。
だから今を頑張るとしよう。
だらだらと平和を満喫出来る未来のために。
あとがきっぽいもの。
作者「クラスの設定を語ってみようかと。」
美綺「書くネタがないというわけね?」
作者「そうとも言う・・・。えー、では早速、聖騎士について。」
美綺「ギニアスさんや、ソフィアちゃんだよねー♪」
作者「神官と似たスキルを覚えます。回復と聖属性攻撃がメイン。」
美綺「神官と違って前線で戦えるのも特徴だよね。」
作者「そっすな。で、状態異常になる確率、なった時の効果時間が半減。」
美綺「毒とか麻痺とかになりにくいってこと?」
作者「うん。常時発動状態で、最初から使える。」
美綺「おー、凄くない?」
作者「高レベルになると、無効になる。ギニアスは状態異常無効。」
美綺「そういえば、アサシンの毒ナイフ効かなかったね。」
作者「毒の沼地を泳いでも平気。」
美綺「・・・泳いだ後、近づいて欲しくないわね。」
作者「・・・確かに。」
おわり
お気軽に叩いてやってください、喜びます(笑)
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