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騎理とトライハートの戦いが終わった。

騎理は疲労で爆睡してしまい、王城の客室へと運ばれた。

その後、トライハートも疲労の濃い状態だったため、部屋へと運ばれる。

塔に幽閉されるまでの間過ごした自分の部屋へと。

倒れた兵士も担ぎ出されていった。

外傷は無く、少し衰弱しているだけと診断された。

結果として血を流したのは騎理だけであり、安静にしていれば皆大丈夫ということ。

ちなみに真矢とリナンシアスは兵士達より存在力が高かったのと、

騎理が優先して守っていたので戦闘終了後もケロッとしていた。

建物の被害も、トライハートが現れた時に王城の間をぶち抜いたものぐらいである。

「……騎理には感謝してもしきれぬな。」

勇者王は戦いの跡を見渡しながら呟いた。

何も出来なかった。

そういう状況へ誘導されたとはいえ、ふがいなさ過ぎた。

「平和ボケしていたのかもしれん……。」

魔王と戦っていた時のような、鋭く、熱く煮えたぎったような感覚が湧いてこない。

衰えた、確かにそれもある。

「……もう本当に世代交代なんだろうな。」

確実に存在が劣化している。

もう剣を持つべきではないのかもしれない。

「貴方はよくやってきましたよ?そろそろ重い荷物を下ろしてはいかがです?」

王妃の優しい言葉。

勇者王は苦笑いを浮かべて受け止める。

「……一番重い荷物は随分前に下ろしたからなぁ。次の荷物を託せるものが見つかるまではと思っていたんだが……。」

それは見つかったのかもしれない。

この世界の未来を託せるものが。

しんみりとした、感傷的な気分でいると、慌ただしい足音が聞こえた。

「陛下っ!緊急事態がっ!陛下っ!」

身軽な装備の兵士が駆けてくる。

塔爆破を知らせた兵士のように切迫した表情であった。

「何事だ!?」

勇者王は嫌な予感がした。

今は城内が混乱している。

もし、何かを起こすのであれば、絶好の機会であるはずだから。

「ハサン村を監視していたものからの報告です!」

兵士はハサン村からルファへの中継ぎの伝令だった。

ハサン村から連絡を受け取るとすぐに駆け付けたのだ。

「ルファに向けて武装した人間が出撃しました!その数、およそ五千!」

「馬鹿な!?」

ハサン村の人口から考えてありえない人数だった。

「まさか、こちらの気付かぬうちに保有していたというのか!?」

しかし、それは考えられなかった。

密偵を放って監視していたのである。

それだけの人数の動きがわからないはずがない。

「それが、女、子供、老人を含めた人数なんです!ハサン村全ての人間が動いているのです!」

「なんだと!?」

「大多数のものがまともな武装を持たず、鍬や包丁などを持って歩を進めています!

さらに全ての人間に共通しているのは、表情が虚ろで意志があるように思えないことです!」

「……傀儡の技かっ!?」

傀儡の技。

いくつかのクラスにそんな技がある。

対象を自らの操り人形と化す技。

しかし、ハサン村の村人達のような大規模の傀儡の技は聞いたことがなかった。

「……勇者かもしれぬ。」

兵士には聞こえないよう呟いた。

勇者の武具を使った大規模な洗脳。

勇者の力は扱うもの次第で恐ろしいものへと変わる。

「騎士団を向かわせて鎮圧せよ!その際、怪しい人物がいないか探せ!操っている人間がいるはずだ!」

兵士へと命令を飛ばす。

騎士団をもってすれば鎮圧は容易いだろう。

しかし、無駄な血を流させるわけにはいかない。

首謀者がいるのであればそれを叩く。

傀儡が解ければハサン村の村人も正気に帰るだろうと判断したのだ。

「了解しまっまっままっままままあまあっぁあああぁぁぁぁぁっぁぁあああぁあああぁぁぁ!!?」

突如、奇声を発して苦悶の表情を浮かべる兵士。

同時に腹が膨れて妊婦のように、いや、それを通り越して明らかに異常なほどに膨張していた。

「な、なにがっ!?」

異質な光景。

勇者王はとっさに動けず、一瞬硬直した。

兵士の体のあちこちが膨張を始め、表情が怯えから死を悟った表情に変わった瞬間、弾けた。

「ぬぅぅぅぅっ!?」

ドンッ!!!

という爆発音と共に破壊力が襲いかかる。

それは間近にいた勇者王へと向かった。

盾の具現化が間に合わず、まともに爆発に巻き込まれる。

肌を焼く熱と暴力的な力に押される。

辛うじて半身となることが出来たため、全身へのダメージを防ぐことが出来た。

しかし、右腕は千切れ飛び、右半身の殆どが焼けただれている。

苦痛の表情を浮かべながら偶然背後にいた王妃を安否を確認した。

服が多少焦げているだけで、無傷だったのを見てホッとする。

「陛下!?」

騎理とトライハートを運び終わったギニアスが血相を変えて駆け付けた。

重傷の勇者王と爆発した兵士の肉片が飛散している惨状を見て愕然としている。

しかし、すぐさま我に返り勇者王の治療に取り掛かった。

ぐずぐずになった右腕を拾いあげる。

まだなんとか右腕と判別出来た。

「……すまんな。」

「いいえ。すぐに治します。」

『癒し』よりも高度な奇跡を使い、勇者王の右腕を治療しつつ繋げる。

繋ぎ終えると焼けただれた箇所も治した。

重傷を負った勇者王であったが、見た目は無傷となった。

しかし、騎理と同じくかなりの血を失って青ざめている。

「一体何があったのです?」

「……兵士が突然爆発した。」

「爆発ですか?もしや……。」

何かに思い至った表情のギニアスに、勇者王が頷く。

「たぶん、俺と同じ考えだな。……塔を爆破した犯人と同一人物の可能性が高い。」

「さらに付け加えるなら勇者ですか……。」

「あぁ。魔術師の魔術に遠隔爆破させるようなものはない。

錬金術師が特殊な爆弾を作った可能性もあるが、火薬の匂いもしない。」

「魔力の働いた形跡も無く、火薬も無い。となると、勇者の武具ですな……。」

「……漂う存在力に目を配っておけばよかった。」

油断を悔いる表情。

「いえ、この場は騎理様とトライハート王子の存在力で混乱しています。

いかに陛下といえど、存在力を読み取ることは不可能だったでしょう。」

冷静な分析を下すギニアスの言葉は、興奮気味の勇者王の心を落ち着かせた。

「……悔いていても仕方ないか。よし!まずは、ハサン村の件だ。俺が指揮を取り、速やかに鎮圧する!」

「いけませぬ!今は混乱している時です。陛下が浮き足立っては民の不安をあおることになるでしょう。」

「むぅ……しかし。」

「それに体調が万全ではありません。せめて体調を治してからにして下さい。」

確かに体が休息を求めていた。

この緊急時に王が倒れるわけにはいかなかった。

「……ギニアス、指揮を取ってくれるか?」

「御意。」

「部隊を編成し、必要なら人材を集めて事に当たってくれ。頼んだぞ!」

「必ずや期待に応えましょう。」

勇者王に一礼すると、華麗に背を向けて動き始めた。

ギニアスは詳細な情報を集めさせつつ、直ちに出立の準備へと取り掛からせた。

そして、予想されうる脅威への対策に、ある人物を雇った。

「報酬の分はきっちり働きます。」

エイラである。

今はレベルの高い人材が一人でも多く必要だった。

すぐさま伝令を飛ばし王城に招いたのだ。 

現状をかいつまんで説明し、意見を仰いだ。

「練り込まれた計画のように思えます。呪われた王子の解放による王城の混乱。

王への奇襲攻撃。これは頭を狙った攻撃ですね。潰せないまでも、一時の混乱を招くことが出来ます。

指示が遅れるのは致命的なことになりかねませんからね。」

その場にいなかったゆえの冷静で客観的な意見。

ギニアスは黙って続きを促した。

「そして、予想外の数の敵。話を聞く限り、正規の軍とは違って強くはないかもしれません。

しかし、本当に傀儡であれば話が通じない相手である可能性が高い。

下手をすると、全滅させるまで戦闘が終わらないかもしれませんよ?」

「……もしかすると、時間稼ぎなのかもしれませんな。」

「ええ。まだ憶測に過ぎませんが、もし時間稼ぎが目的ならば、この次に本命があるでしょう。」

「本命……。やはり王城でしょうか……。」

「わかりませんが、遠くはないでしょう。」

「かといって放置することは出来ませぬ。」

「……早急にケリを付けて帰還するしかないでしょう。」

「それしかありませぬな……。」

話し合いが終わり、部隊編成の準備が終わったとの報告を受け取る二人。

顔を見合わせて頷くと戦場へ向かうべく立ち上がった……。



あとがきっぽいもの。
作者「卒論が終わり次第、執筆速度がさらに加速&絵の練習にとりかかります!」
美綺「早く人気投票のキャラ絵を描かなくちゃね♪」
作者「……もうすぐだ、もうすぐ片がつく……。」
                   おわり



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