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「夜が明けたか……。」

仁は徹夜明けの体をほぐすようにしながら、細い路地を歩いていた。

胸ポケットからライターを取り出して煙草に火を付ける。

「ふぅ……。」

肺に紫煙が染み渡るのを実感しながら、残り少ない煙草の数に軽く凹む仁。

なんとなく空を見上げた。

ただそんな気分だったから。

特に意味の無いはずのその行動。

しかし、空にある複数の点を見つけたことで、確かな意味を持つことになる。

「……あれはなんだ?」

目をこらす。

次第に接近するそれが何なのか、見極めようと集中した。

「人?人が空を?」

嫌な予感がした。

この世界で人が空を飛ぶことは比較的有り得ること。

しかし、その目的がわからなった。

なぜこんな朝早くに、王城が混乱している時に、騎士団が出払っている時に、

まるでこのタイミングこそが、ルファを攻める絶好の機会であるかのように現れたそれ。

「ちっ!」

反射的に駆け出した仁は、カイとエリスの家へと向かった。

路地裏の古ぼけた一軒家。

雨が降ればいくつも雨漏りのするようなその場所は、仁にとって近寄りがたくも懐かしく感じる場所であった。

建て付けの悪くなった扉を半ば強引に開いて中へと滑りこむ。

そこには朝ご飯の準備を始めようとしていたエリスが立っていた。

「あ、おはようございます仁さん。」

柔らかい笑みで仁の帰りを嬉しそうに出迎えるエリス。

「エリス、カイはいるか?」

「部屋で寝てますけど……。」

仁の落ち着かない様子に怪訝そうに首を傾けて答えた。

「カイ!起きろ!」

カイの部屋へ遠慮無しにあがりこんだ仁は、気持ち良さそうに眠りこけるカイを揺さ振り起こした。

「んん?仁さん?ふあぁぁ、何か用っすかぁ?」

大きなあくびをしながら眠そうに目をこするカイ。

「カイ、よく聞け。ルファが戦場になるかもしれない。」

仁の最初の言葉に目を見開くカイ。

仁はカイの目が覚めたことを確信すると、話しを続けた。

「お前はエリスを連れて安全な所に逃げろ。……いや、安全な所はほとんど無いな……。」

「仁さんは私達と一緒に行かないんですか?」

エリスは尋ねずとも答えの解っていることをあえて尋ねた。

もしかしたら、その答えが間違っているかもしれないことを期待して。

「俺も戦わなければならない。友と共にな。」

一人で行動することが殆どの仁だが、仲間を、身近にいる人間を人一倍に大切にする。

例えその身を犠牲にしても。

「お前達はディルフォード邸にかくまってもらえ。俺の名前を出せば入れてもらえるはずだ。場所はわかるな?」

「わかるけどさ、俺も仁さんと一緒に戦うよ!」

「ダメだ。お前には別の役目がある。」

「別の役目?」

「ああ。エリスを、お前の姉を、たった一人の肉親を守るんだ。出来るな?」

カイの両肩に手を置き、しっかりと目線を合わせて語りかける仁。

カイはその言葉を真摯に受け止めている様子である。

「わかった。俺、姉ちゃんを守るよ!だから、仁さんも頑張って!それで戦いが終わったらまた帰ってきてくれよ!」

「……ああ、約束する。」

二人に背を向け、戦いの場へと歩き出す仁。

エリスはその背中に向かって言葉をかけようとしたが、何を言えばいいのかわからなくて、

ただ仁の姿を目に焼け付けておくことしか出来なかった……。



家屋の影から狙撃者の様子を伺う慎吾達。

距離を詰めようとしては、牽制の銃弾が放たれ動けずにいた。

自分達の戦力を分析し、それをどう扱うか思考を巡らせる慎吾。

その傍らで召喚可能なモンスターの中で、この状況を打開出来そうなものがいないか思案する真矢。

ギルムント達も思うように動けず、焦りの表情を浮かべている。

「……やはり誰かが囮になって狙撃者を引き付けている間、他のものが突入するしかあるまい。」

「……囮ですか。」

「あぁ。この中で戦闘力の低い私が囮になる。」

「ちょっと待ってください。囮は危険な役目でしょう?指揮をする慎吾が前に出てはいけないのではないですか?」

「だが、時にはそれをやらなければならない時もあるのさ。」

それはなんでもないことのように慎吾は言った。

決意を固めてしまっている慎吾に対して、真矢は何も言えなかった。

「良い指揮官になれそうな決意だ。しかし、その役目、俺にまかせてもらおう。」

不意に背後から声をかけられた真矢は、警戒まじりに振り返った。

そこに居たのは髪をかき上げ、上半身はタンクトップ1つとなった戦闘モードの仁。

「仁!?」

「久しぶりだな。」

そう言ってから煙草をくわえる仁。

美味そうに煙を吐いてから再び口を開いた。

「俺は俺のやるべきことをやってきた。だからこっちを手伝おうと思ってな。」

「危険な仕事だ。それでもやるのか?」

「あぁ。慎吾、お前の頭脳はこれからも必要だ。だから、堂々と後ろで踏ん反り返ってろ。」

不敵な笑みを浮かべ言い捨てるように仁は言った。

「……わかった。」

重々しく頷く慎吾。

自分へ向けられた信頼の重みをしかと受け止める。

慎吾達の攻勢が始まる。

煙草を石畳で揉み消すと、広場へと駆け出す仁。

いつの間にか、その手には一振りの剣が握られていた。

容赦なく仁を狙って放たれる銃弾。

しかし、スピードに乗った仁をまだ捉えられない。

それでも、徐々に照準が定まってゆき、ついに仁を捉えた。

「クッ!?」

左肩を焼けるような痛みが襲う。

痛む箇所に目を向けると、肉がこそげ落ちていた。

噴き出す血を無視し、動きを止めぬよう走り続ける仁。

さらに銃弾が脇腹、太股をかすめた。

「……これ以上のダメージはヤバイな。だが……。」

仁が呟いた時、その手にある剣が淡く輝き始めた。

同時に仁の体にある傷がふさがる。

その剣は、ギルムント達が倒した者から拝借してきた『治癒の剣』である。

ちょうど倒された現場に遭遇した仁は、治癒の剣が消滅せずに残ったのを確認した。

そして、役に立つと予想して頂いていったのである。

「……避け続けるしかないか!」

囮としての役目を全うするため、迫りくる銃弾を避け続ける仁。

幾度も被弾しつつも、痛みに耐え、治癒の剣を使用しながら時間を稼ぐ。

血に濡れて張り付いたタンクトップが気持ち悪かった。

仁は、ただそれをすることだけしか組み込まれていない機械のように狙撃者の目を引き付け続ける。

仁が敵を引き付けている間に、慎吾達は狙撃者が拠点としている建物に近付いていった。

石造りの円柱状の建物。

10メートル以上はある高さの場所で狙撃者は広場に入ってくるものを始末していたのだ。

「狙撃者にとっては最高のポジションだな。」

「出入口がどこにもないですね……。」

真矢の指摘通り、一周してみてもそれらしき出入口が見付からなかった。

「おそらく、地下から出入りするのだろう。どこかにここへと繋がる場所があるに違いない。」

「ですが、それを探している時間はありませんね。」

「あぁ。仁にいつまでも囮をさせておくわけにはいかない。そこで、私に考えがある。」

慎吾は真矢、ギルムント、二人の騎士を近くに集めて作戦を話した。

その作戦とは……。



あとがきっぽいもの
作者「ひっさしぶりの更新ですなぁ・・・。」
美綺「小説の更新だと、2ヶ月近くぶりだよねー。」
作者「こんなサイトでも来てくださる方々には感謝してもしきれんです。」
美綺「そろそろ新生活にも慣れたかな?」
作者「うーん、まだまだこれからって感じはする。今のところ得たものって、まだ表面的なものだし。」
美綺「得たものが実践で使えるようになるのは、まだ先ってことだねー。」
作者「うむ。今は勉強するしかないべ。」
美綺「頑張りまくるんだー!」
作者「・・・まぁ、頑張りかたがわからんのが本音だがね・・・。」
美綺「もっと前向きにー!」



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