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慎吾は真矢、ギルムント、二人の騎士を近くに集めた。

「真矢の召喚魔法を使う。召喚対象は私達の誰かだ。狙撃者の近くに直接飛ばしてもらい、接近戦で叩く。」

「ちょっと待って下さい。召喚魔法の有効範囲はぴったり10メートル。どう見ても、ここから屋上まで10メートル以上あるのですが……。」

「問題無い。その辺りもクリア出来るよう既に考えてある。後は実行に移すのみだ。」

自信満々で作戦を語る慎悟の表情で、なんとなく頷いてしまった一同。

慎悟の立てた作戦が始まることとなる。

「……大丈夫なんですか?下にいらっしゃる三人は……。」

『大丈夫です!おまかせ下さい!』

「レディの一人ぐらい見事支えてみせましょう。」

騎士達は気合いの入った声を揃えて上げ、ギルムントは余裕たっぷりの笑みを浮かべていた。

「ギルムント達の高さと真矢の高さで、約3メートルは稼ぐことが出来た。これで、狙撃者の元へ飛ばすことが可能となる。」

真矢達の組体操をイメージさせる状態を見上げながら、満足そうに頷く慎悟。

さらに奇襲性を上げるための作戦を慎悟は真矢に言い含めておいた。

「では始めよう。」

慎悟の言葉が終わると同時に真矢は召喚魔法の詠唄を開始する。

召喚対象となる慎悟は戦闘に備えて剣を抜き放ち、魔剣士としての力、剣に炎を纏わせて準備を整えた。

そして、真矢の詠唄が完成する。

「召喚・慎悟!」

最後の文句と同時に力一杯上方へとジャンプする真矢。

少しでも召喚距離を稼ごうというその作戦はさらに1メートル近くを稼ぐことが出来た。

慎吾の体が光の粒子へと分解され、真矢の指し示した場所に送られてゆく。

真矢が着地した頃には、狙撃者の背後へと再構成した慎悟。

「良い場所だ。」

剣の柄を強く握りしめて『斬る』覚悟を固めた。

思い返せば人を斬ること、そもそも実戦そのものが慎悟にとって初めてのことだった。

狙撃者の背中へ容赦なく放つ剣撃。

だがその攻撃が当たることはなかった。

慎悟の迷いで生じた隙なのか、狙撃者が予想外に反応したのかはわからないが、狙撃銃と慎悟の剣が交差した。

「……。」

無表情。

それは淡々と仕事をこなす、寡黙な職人のようにも見えた。

慎悟の剣の纏う炎がチリチリと狙撃者の前髪を焦がす。

しかし、平然と狙撃銃でもって慎悟と対抗している。

「力任せは流儀でないんだがな!」

片手から両手に柄を握りなおし、全力で剣を押した。

狙撃者は慎吾に力で劣っているらしく、押され始めている。

微かに滲む苦悶の表情。

そのまま押し切ろうとさらに力を込めようとした所、狙撃者は押される力を利用して後退した。

「甘いな!」

距離が空いた瞬間、剣から炎を解放。

その炎は酸素を喰らいながら狙撃者へと突き進む。

「……。」

狙撃者は体勢を崩しながらも銃を放つ。

弾は慎悟の右腕を掠め、慎悟の放った炎は狙撃者を飲み込んだ。

肉の焦げた匂いが立ち込める。

しかし、まだ慎悟は構えを解かなかった。なぜなら、狙撃者は炎の中で銃を構えていたから。

皮膚が焼けただれようと、肺が焦げようとも、ただ目の前の敵を排除しようとする。

まるで機械のような、それだけのために存在しているような稼動。

咄嗟に左前へ転がるように身を投げ出した慎悟。

慎悟の元居た場所を弾丸が走り抜けた。

慎悟は剣に風を纏わせながら、狙撃者との距離を詰めようと一歩踏み出したその瞬間、

「……。」

そこには体を燃やしながら、慎悟へと照準を定める狙撃者の姿があった。

慎悟には引き金を引く動作がやけにスローモーションに見えた。

纏わせた風を放とうにも、わずかに間に合わないことを頭の中で瞬時に理解していた。

撃たれる、そう思った瞬間、狙撃者の体に衝撃が走り、ゆっくりと前のめりに倒れる。

狙撃者の背後には血まみれのくせに余裕たっぷりな表情の仁がいた。

「ギリギリセーフってとこだったな。」

「真矢の召喚か。……助かったよ。」

狙撃が止んですぐに真矢達と合流した仁は、慎悟と同じ方法を用いて援護に来たのである。

「……くっ……。」

うめき声を上げながら立ち上がろうとする狙撃者。

その背中に体重を込めた蹴りを容赦なく放つ仁。

そして、銃を持つ手を蹴りつけて、武器を手放させた。

「勝敗は決した。無用な争いは止めにしないか?」

そんな慎悟の言葉とは裏腹に、狙撃者の顔から敵対心が消えることはない。

例えその身が朽ちようとも、立ち塞がるものを排除するかのような目つき。

「……これは信念や強い意思からくるものではなく、ただゼンマイが切れるまでその動きを続けるだけの機械人形のような感じがする…。」

「簡単に言えば操ってる人間がいるってことか。」

「問題はそれが『勇者』の力なのか、それ以外の力なのか、ということだ。」

「その違いに何の意味がある?そういう力がある、という認識だけではいけないのか?」

「『勇者』の力だと、本人が放棄すれば他人に譲渡することが出来る。

能力の制約次第では、一般人でも扱えてしまう。

ということは、勇者以外のクラスの手練れに渡る可能性もありうる。

例えば、盗賊王の勇者の武具が本職の盗賊の手に渡ったとしよう。鬼に金棒とはこのことだ。」

「……確かに。」

「そして勇者の力で無い場合だが、何らかのクラスの能力であるならば問題ないと思う。

勇者以外のクラスで対抗策があるはずだ。勇者は例外として、実は他のクラスの相互関係は非常にバランスが取れているんだ。」

「これは弱い、あれは強い、ってのが無いと?」

「そうだ。本人の能力によって多少は左右はされるが、同じ基本能力のものが別々のクラスで対決した場合、

勝敗は五分となる可能性が限りなく高い。」

慎悟はディルフォードの協力で、使用人達や傭兵を使って各クラスのデータを収集していた。

その結果から導き出されたのが、クラスの均衡性である。

「クラスを選択する際に、自分に合ったクラスを選ぶことが出来ていればこの世界で生き残る確率はグンと上がるだろうな。」

「ほーお、ちなみに聞くが慎悟は自分に合ったクラスを選ぶことが出来たのかよ?」

「魔剣士。色々、工夫出来そうなクラスだよ。なかなか興味深いクラスだ。」

妙に自信ありげな表情で語る慎悟。

「ははっ、相変わらず頼もしいな。」

仁は慎悟と気軽に会話をしながらも、攻撃の意思が消えそうに無い狙撃者を羽交い締めにして気絶させた。

「とりあえずは先に進むしかないな。」

「うむ。急ごう。」

駆け出す二人。

まだルファでの戦いは、始まったばかりであった……。



あとがきっぽいもの。

作者「正直申しますと、前回書いた内容を覚えておりませんです、はい。」

美綺「さらに補足すると、今後の展開も忘れてたり!」

作者「おっしゃるとおり、大きなイベントしか記憶にございません……。」

美綺「そんな中で、続きはいつ執筆されるのか!?乞うご期待!」

作者「期待せずに待ってて!」

おわり



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