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この世界に来てから3日目。

毎日、モンスターと遭遇しては殺し合う日々。

それはきっと純粋に生きるための戦い。

元の世界では忘れてしまった衝動なのだろう。

「……。」

会話は無い。

言葉は通じない、伝わらない。

ただ神経を研ぎ澄まして、敵の隙を窺うだけだ。

今日遭遇したゴブリン達はやたらと統率が取れていた。

力のあるものが背後にいる。

私は体力を温存しながら立ち塞がるゴブリン達を射殺していく。

木の上から3匹を狙撃すると、木から飛び下降りる。

ロングボウからショートボウに持ちかえると、素早く矢をつがえて放つ。

矢を取り出しつつ、最適なポジションへ移動する。

出来るだけ足を止めずに動きまわりながらのヒット&アウェイ。

時には矢を投げつけ、短剣で切りつける。奇襲めいた踏み込みで、超接近で射殺すこともある。

戦いづくめの日々のおかげで、私は殺しがうまくなった。

アーチャーというクラスの特性か、飛び道具を外すことがない。

矢を射ろうと、短剣を投げようと、石をぶつけよう、必ずと言っていいほど狙った場所に命中する。

正直楽しいかもしれない。

けど、命中するのが楽しいのか、殺すのが楽しいのか区別がつかなくなってきているのかも……。

嫌だ、嫌だ。私は善良な一般市民。

こういうことには無関係のか弱い女の子のはずだ。

殺すことに慣れてはいけない。

例え、自分の生命が狙われていようとも。

決して、慣れてはいけないのだ……。

そんな思考とは裏腹に無意識に体は動く。

地を蹴り加速

木を盾に短剣を取り出し、1本、2本、3本と投げつける。

また1匹のゴブリンが絶命する。

……あぁ、考えるのはよそう。

今はただ生き残ることだけを考えるんだ……。

どうせあいつらは山ほどいるんだ。

殺しても殺しても、どうってことはない。

「……くっ!」

奥歯を噛みしめ、思考を打ち消すようにして矢を射った。

ゴブリンの死体が散乱している中で、親玉らしきやつが現れた。

体格は大きく、そこらのゴブリンよりは理性的な顔をしている。

そいつは口を開いた。

「ニンゲン……、オマエナカマコロシタ。」

だからなんだ?

「オマエ、スグニハコロサナイ。オマエツカマエテ、ハラマセテナカマフヤス。」

あいつらは繁殖力が高いみたいだ。

異種繁殖でも問題無いらしい。

ははっ、なんて気持ちが悪い!

触れたくもない!

すぐにでも殺してやる!

私はショートボウを構える。

やつは錆びた剣を無造作に構えた。

引き絞り射つ。

しかし、所詮は真っ直ぐで素直な軌道。

やつはなんなく避けると剣を振るった。

バックステップでかわしつつ、短剣を投げる。

あっさりと剣にはじかれ、地面に突き立つ。

私は矢を取り出しながら駆ける。

追いかけるやつは、距離を詰めて弓矢の威力を削ごうという腹づもりらしい。

事実、狙いは定まりにくく、引きにくい。

それでも私は矢を放った。

威力は無いがやつの顔面へと飛ぶ。

やつは剣で払う。

私はその瞬間、地面を蹴りあげた。

「ブハッ!?」

やつの顔面に土が振りかかる。

やつは視界を失い、慌てふためく。

私はその隙に矢をつがえ、極限まで引き絞ると矢を射った。

胸に突き立つ。でもまだ死なない。

もう一度射つ。首に突き立つ。

まだやつはあがく。

面倒になった私は、やつの手を蹴りつけ剣を弾いた。

そして、その剣でもってやつの首を断つ。

「……。」

力無く倒れる体。

やつの首が地面に転がる。

無言で見下ろし、錆びた剣を捨てる。

歯こぼれが激しすぎて、もう使えそうにない。

私の武器を拾いあげて、この場を後にした。

木の上に登って方角を確認する。まだまだ森を抜けれそうにない。

武器の手入れと、少しの休憩を取ると、木を降りて私はまた森を歩き始めた。

どうやら私は、このむやみやたらに広い森のど真ん中に現れたらしい。

どの方角に歩こうと、森を抜けるためには同じ距離を歩かねばならないようだ。

「……はぁ。」

ため息をつく。

正直疲れた。

ろくに寝れていないし、戦うことは思った以上に体力と精神力を奪う。

それでも歩みを止めることは出来ない。

生きている限りは全力で生きるんだ。

物思いにふけっていると、背後に気配を感じた。

振り向き構える。

茂みをかきわけて現れたのは2メートルを超えたオーガ。

手には私と変わらないぐらいの大きさの棍棒が握られている。

瞬時に矢をつがえて放つ。

胸に突き立ったものの、筋肉の鎧が傷をごく浅いものにした。

私は舌打ちとともに、後退する。

これは相手が悪い。

しかし、動きが遅いのは幸いだ。

ここは撤退させてもらおう。

駆け出そうとした時、周りの茂みが揺れた。

注意を向けると、私を囲むようにして気配がある。

私は再び舌打ちをすると、敵がいるであろう場所に矢を投げつけてやる。

すると、敵は矢を回避して茂みから転がりでてきた。

またゴブリンか……。

あと二つの気配。それもきっとゴブリンだろう。

そう判断したところに茂みから何かが飛んできた。

矢?

どうやら弓矢を使うゴブリンみたいだ。

難無く回避。

それどころか私は横を通り過ぎる矢を掴み、体を回転させて来た方向へ投げ返した。

そして一気に加速。

短剣を抜きつつ茂みに飛び込む。

腕に矢が刺さり、弓を落としたゴブリンがいた。

何かわめいていたが、躊躇無く首をかっ切った。

そのまま流れるような動作で、茂みから転がり出たゴブリンに短剣を投げる。

「グゲッ!?」

そんな汚い音を発して動かなくなった。

あとはオーガともう一匹のゴブリン……。

オーガが棍棒を振り回した。

私ごと茂みを薙ぎ払おう気である。

後方へ飛び退き矢をつがえる。

未だに動きを見せない茂みに向かってそれを放った。

……反応が無い。

仕方ない。気にはなるが、目の前のオーガをなんとかしなければ。

ブンッ、ブンッと棍棒が振られる。

当たれば致命傷になりえる。

私は余裕を持って回避しながら、懐に踏み込む隙が出るのを待ち続けた。

しかし、私の考えた一撃必殺の攻撃だが、失敗すればこちらが危ない。

失敗すれば死。

その考えがよぎってなかなか踏み込めない。

……賭けてみないとダメ……

賭けるものはお互いの命。

デッドオアアライブ

いや、私の場合はそれ以上の苦しみが待っているかも。

それでも、ここは、生き残るために、一歩、前へ!

棍棒が頭上を横切る。

それが返ってくる前に地を這う姿勢の低さで懐に入り込む。

今までで一番の踏み込み。

弓を引き絞り、私の頭上にあるオーガのアゴと首の中間へと解く放った。

肉を貫き、口腔を裂いて、頭蓋に侵入。

脳を損傷させ再び頭蓋を穿ったところで矢の動きが止まった。

「ウオオォォォー!」

油断した。

最後の力を振り絞ったオーガの拳が私に迫る。

とっさに拳に合わせて飛ぶも、威力を殺しきれずに木へと叩きつけられる。

体が軋み、息が出来なかった。

まだ動くオーガ。

そのタフさに苦笑しながら体が動かないことに焦る。

じりじりと距離を詰めてくる。

早く死んでくれと思いながら、呼吸を整える。

もう少しで体が動くはず……

そこで突如、異変が起こった。

オーガの体がいきなり地面に倒れたかと思うと、空中に浮かんだのだ。

いや、何か足首に絡んでいる?

宙吊りになったオーガの体を緑の蔓のようなものがいくつも絡みつく。

蔓がオーガの体を強く絞めて、完全に息の根を止めると、茂みがガサガサと揺れた。

ゆったりと現れたのはウツボカヅラのような、そんな形状の巨大な植物のモンスター。

そいつはオーガをブチブチッと引き裂いて、消化液の詰まった袋に落としていく。

そうか、見失ったゴブリンらしき気配は、こいつに喰われたんだ。

一刻も早く離れようと木を支えにして体を起こす。

しかし、そいつは私もエサと判断し、蔓をウネウネと動かして隙を窺っている。

短剣を拾うかどうか、迷ったのが致命的だった。

蔓が伸びる。私の足を取ろうと迫りくる。

弓を振って払う、それでも諦めることなく蔓が執拗に追いすがる。

何度も払ううちに、本数が増えていた。

私は懐に手をやり、残り数本の短剣を取り出して蔓を切り捨てる。

それも限界がある。

捌ききれない本数の蔓が私を狙い、本体はじりじりと距離を狭めてくる。

体を打つ蔓が増えて、隙あらば絡みつこうとする。

まともに戦えばやられる。

しかし、蔓は罠を張るかのように辺りにはりめぐされている。

私は弓を捨てて両手に短剣を持ち、ただひたすら蔓を切り裂き、はじき、払う。

そして、私は体力が尽きてしまった。

注意散漫になったところを、先の尖った蔓に脇腹を刺された。

毒でも入っていたのだろう、体から力が抜けて意識を失った……。



お気軽に叩いてやってください、喜びます(笑)


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