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九条さんの後ろをついていって、およそ2、3時間。

森を抜けるのは間近だった。

その間、モンスターの襲撃が数回あったものの、九条さんがつまらなさそうに斬り捨てていた。

「さて、到着っと。」

爽やかな風が吹いた。

森の少し湿った空気から解き放たれて、久しぶりに明るい陽射しを浴びることが出来た。

深呼吸。

九条さんに会ったおかげで、途中からは楽だった。

私一人なら、もう一日はかかったかもしれない。

「俺達が使ってる小屋が近くにある。そこに行こうか。」

返事を待たずに歩きだす九条さん。

どうもこういう人らしい。

「達、って?」

「ん?あぁ、つるんでるやつがいるんだ。ダイルっていうやつ。」

丸太小屋に到着。

多少は傷んでいるものの、十分、人が住めるところだ。

九条さんはドアを開けて、ぼんやりと小屋を見上げている私を手招きした。

「まぁ、汚いところだが、入れ。」

小屋に入った。

言葉通り汚かった。

中にいた人物が顔を上げる。

体格が良く、筋肉隆々の男。

ダイル、って人なんだろう。

大剣を手入れする手を止めて、私を見た。

「よぉ、九条。可愛い娘、連れてんなぁ。買ってきたのか?」

なんだかガラが悪そうだ……。

「そんなんじゃねぇーよ。」

足でゴミを蹴飛ばしながら、小屋を進む九条さん。

おずおずと後ろをついていく私。

「なんだ、口説いたのか?やるねぇ〜。」

ニヤニヤ笑うダイルさんは、チンピラそのものである。

「違ぇーよ。あー、なんだ、いわゆる同胞、ってやつだ。」

九条さんは椅子を二つ発掘し、一つは自分、もう一つは、一応、気を遣ってくれたみたいで、座るところを手で払ってから、私に薦めてくれた。

とりあえず、ちょこんと座る。

「ほー。『勇者』様、ってわけか。こんな可愛い娘も選ばれるんだねぇ。」

ジロジロと見つめられて、居心地が悪い。

ダイルさんに名前や歳を尋ねられて私は素直に答える。

……それにしても、散らかってるなぁ。

光騎さんの部屋も、しばらく行かなかったら散らかってたなぁ。

男の人の部屋って、こんなものなのかな?

「で、お前はどうすんだ?森は抜けただろ?どっか目的地でもあるのかよ?」

九条さんが尋ねる。

「この剣、あっ、コキュートス、って言うんですけど、使いこなせるようにならないといけないんです。」

鞘に入ったコキュートスを見せた。

「お、レアっぽい剣。いいねぇー。」

物欲しそうに見るダイルさん。

「あと、光騎さん達に合流したいんですよ。トリオン、って場所にいるみたいなんですけど……。」

「トリオン?あぁ、あの空中都市か。」

「あの、場所分かりますか?」

思わず、勢いこんで尋ねる。

だって、光騎さん達に会いたいから。

「トリオンは当分来ないな。一週間前にこの辺りを通ったばっかりだ。」

この辺りだと、ロクという、元は村の集まりだった街にトリオンは停留するらしい。

だいたい一ヶ月の周期で巡ってくるらしいけど、一週間前に通ったみたいで、次に巡ってくるのは三週間程のようだ。

「それまで、ここでレベル上げしてればいいんじゃないか?」

ダイルさんは華があっていいよなぁー、とかやたら機嫌良さげ。

「まぁ、足手まといにならなきゃいいんじゃねぇの?」

九条さんは散らかってるテーブルの上から、干し肉を探し当て、かじりながら言った。

「あ、俺もくれ。」

ダイルさんが言う。

九条さんは千切って干し肉を渡した。

……うぅ、なんだかなぁ〜。

居心地が悪いというか何というか、雰囲気がどうとかじゃなくて、環境が悪い!

私は発言するために手を上げた。

「なに?」

干し肉を噛み千切って行儀悪く返事。

「しばらくお世話になりたいと思います!」

「お、おう。」

ちょっと強気な声の私に、驚きながら返事をするダイルさん。

「お世話になるにあたり、提案があります」

「な、なんだよ?」

私の気迫に若干押され気味のダイルさん。

私は一呼吸置いてから口を開いた。

「片付けましょう。」

辺りを見回し、静かに言い放った。

九条さんとダイルさんが小屋の中に視線を巡らせ、同時に言った。

『そんなに汚いか?』

「汚いです!」

私は腰に手を当てて、ちょっと怒りながら言う。

この人達、ダメっぽいから、私がしっかりしなきゃと思った。

なんだか、自分でもたくましくなってきたなぁ、と思った。



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