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「柔耶〜、お昼食べよう〜!」

窓の外から声がする。ちなみにここは3階である。

葵は3年生で教室は1階である。どうやってここまで来たかはご想像におまかせする。

「あっ、アオ姉。」

すっかりお馴染みなので動じない柔耶。しかしミスが一つあった。

「えぃっ。」

ガシャンッ。

「へっ?」

葵は窓を叩き割った。

そう、柔耶のミスは葵の声が聞こえた瞬間に窓を開けなかったことなのだ。

短気というかなんというか、葵の前を立ち塞がるものは全て排除すべき敵なのである。柔耶以外は。

「さぁ、お弁当だー。」

とってもご機嫌な葵。葵の自慢はストレスを体感したことが無いことだった。

葵は柔耶の腕に自分の腕を絡めると、教室を出る。

「ガラス割れてるんだけどなぁ・・・。」

葵の後始末をするのは柔耶の仕事である。

しかし、葵に強引につれられてほったらかしだった。

「そんなのほっといて、ごはん、ごはん〜♪」

ぐいぐいと引っ張る葵になすすべもなかった。

葵のほうが身長も高く、力も強いのである。ついでに美人である。

柔耶はガラスの片付けをやってくれている人に、心の中で謝りつつ葵についていった。

「ダメだよアオ姉、窓ガラスを割ったりしたら。周りの人に迷惑だし、アオ姉がケガするかもしれないし。」

柔耶はべったりとひっつく葵に注意する。葵はコクコクと頷いてはいるものの、適当な感じだ。

「うん、わかった〜。それよりぃ、ごはんは〜?おかずは〜?」

お昼ごはんのことで頭が一杯の葵。柔耶は仕方ないなぁ、といった表情を浮かべて葵の頭を撫でた。

どっちが年上だかわからない。それでも自由気ままな葵が柔耶は好きなのだ。

「アオ姉の好きなハンバーグだよ。卵焼きもある。」

「やったー!卵焼きは甘くしてくれた?」

「もちろん。」

「わーい♪」

ますます機嫌が良くなる葵。鼻歌なんか歌いだして廊下をくるくると踊りはじめる。

そんな無邪気な姿に柔耶は顔を綻ばせながら、葵についていった。

お気軽に叩いてやってください、喜びます(笑)

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