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荒野の砂漠を行くもの達がいた。
乾いた空気。
砂が混じった風をマントで防ぎながら、淡々と前へと進む。
「ガナートさん、お体のほうはもう大丈夫なんですか?」
この場に似つかわしくない姿、
きつい日差しをものともせずに黒い長髪の青年を追いかける。
超絶万能メイド・リーア。
この暑い気温の中でも、気崩すことのないメイド服。
絶やすことのない笑顔。
それはガナートにとって励みになっているという事実が、
自分自身では許せないという複雑な感情を抱いていた。
「・・・体はとっくに大丈夫だ。問題はレベルだ。」
勇者との戦いの後、ガナートは死んだ。
しかし、蘇生の奇跡によって復活を遂げた。
そして、自身の失態を取り戻すために力を取り戻すための旅に出ている。
たった一人の孤独な修行。
自分を追い詰めることによって、力を引き出そうとする荒行。
だが、それを実行することが出来なかった。
なぜならリーアを引き離すことが出来なかったから。
「・・・いつまで、ついてくる気だ?」
はっきりとついてくるな、と言えない自分にイラつきながら、ぶっきらぼうに問いかける。
「うーん、そうですねぇー。気分次第ですかねぇ〜♪」
リーアの曖昧な返答にため息をつくガナート。
問い詰めたところで、うまくかわされてしまわれるので、これ以上の問答をすることは無かった。
ズズッと砂の地に足を埋めながら、ひたすらに進んだ。
黙々を足を進めていると、ガナートは地面に違和感を感じた。
何かがいる、そんな存在感。
グラッと地面が揺れる。
「モンスターか!」
瞬時に戦闘態勢へと移行するガナートは、リーアをかばうようにしてモンスターの気配を探った。
砂をかきわけるようにして、地中から現れるものがあった。
日の光に表面がギラリと光る。
両手に爪を持ち、猛毒の針の尻尾。
「鋼鉄サソリか・・・。」
一目で、モンスターの名前を把握した。
同時に、そのモンスターのステータス、生態さえも把握。
それが出来るのは、魔物使いの証。
「私達の攻撃力じゃ、ダメージは与えにくいですね〜。」
言葉ではそんなことを言いながら、リーアは余裕の気配。
ガナートはフッと笑うと、腰に下げた鞭を取り出した。
「まともに戦うだけが、戦い方じゃない。」
大げさに振りかぶると、鋼鉄サソリに向かって鞭を放った。
バシンッ!
表面を叩いただけで、ダメージは無い。
鋼鉄サソリの目が、己を叩いたガナートを見つめた。
ガナートは、気迫を込めた瞳でもって、鋼鉄サソリと目を合わせる。
一瞬の攻防。
周りからみれば、何が起こったかわからない出来事に過ぎない。
しかし、確かにあったその攻防の勝者は・・・
『グルルルルル・・・・・・。』
戦意を失い、ガナートの前に伏せる鋼鉄サソリ。
魔物使いとしての能力で、鋼鉄サソリを屈服させたのだった。
「余裕ですね〜。」
パチパチと拍手を贈るリーア。
フンッと鼻を鳴らして、鞭をしまうガナート。
「まぁ、レベルに随分と差があるからな。」
地面に帰るように指示をして、先を急ぐ。
「倒さないんですか?レベル上げしないとでしょう?」
ガナートの顔を覗き込むようにして尋ねるリーア。
顔をそらしても回り込んでくるので、いやいやながらも口を開いた。
「・・・殺したら可愛そうだろうが。」
顔を赤くして答えるガナートを見て、クスクスと笑うリーア。
「あ、あいつはなわばりに入ってきたから、出てきただけなんだよ!
だから、入ってきた俺達が悪いっていうか、無益な殺生は好まないというか・・・。」
なんで一生懸命こんなことを言っているのかわからなくなって、だんだん声が小さくなる。
「優しいんですね♪」
頬をツンっとつつくリーア。
「だー!やめろっつーの!」
ふてくされるガナートは、それきり押し黙って歩みを速めるのだった。
あとがきっぽいもの
作者「新キャラっぽく思えるかもしれんが、ちゃんと第1章に出てるのである。」
リーア「久々に私の登場ですねぇ♪」
作者「ということは、あとがきっぽいもの相方は違うキャラになるね。」
リーア「え〜!?」
おわり
お気軽に叩いてやってください、喜びます(笑)
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