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「そんなに慌てて、どこにいくのかな?」

皆と合流するために全速力で駆けていると、見知った顔に声をかけられた。

輝さんだ。

「モンスターがっ!空が黒く見えるほど、大群のモンスターが現れたんです!」

喉が痛い。

酸素を得る代わりに、粘膜が軋む。

「うーん、とうとうきちゃったかぁー。まだ準備出来てないんだけどねぇ……。」

言葉とは裏腹に、焦っている様子は無い。

「えっと、何か困ったことでも?」

「いや、こっちのことさ。呼び止めてすまなかったね。事情は理解した。」

「あっ、はい。避難しておいて下さいね。」

「おかまいなく〜。」

ヒラヒラと手を振り、軽やかな調子で去ってゆく。

なんだか心配になったが、きっと大丈夫だろうと言い聞かせて、再びダッシュ!

噴水のある広場を抜けて、メインストリートを突き進む。

まだ気軽に歩いている人波をすり抜け、城を目指した。

「はっ!はっ!ゲホッ!?」

呼吸困難。

足がもつれそうになったが、ギリギリで持ち直す。

運動は苦手じゃないけど、こんな長距離を走るには体力不足。

あぁー、ダウンしそうだ。

倒れてしまえば楽になれるんだろうね。

でも、まだ諦めない。

人間、案外頑丈で、多少の無茶でも答えてくれるみたいだ。

トリオンの北端から、中央から若干、南側よりのお城へと辿り着いた。

門番さんは顔パスで通してくれた。

中庭へと続く道の途中でソフィアちゃんを発見。

美綺姉も一緒にいた。

二人で話しながら、城内へと向かっている。

「ソフィアちゃん!美綺姉!」

苦しい呼吸の中で絞りだした声。

少しかすれてしまったが、二人には届いたようだ。

「光ちゃん?」

「光騎?」

駆け寄ってくる二人。

ダンサーの格好をした美綺姉。

目のやり場に困るのだが、今は息を整えるので精一杯。

「光ちゃん、はい、これ。」

美綺姉から差し出された水袋。

「……ふぅー、ありがと。」

まだ息は荒い。

それをなんとかなだめて水を一口含む。

「げほっ!げほっ!」

なだめきれませんでした。

「きゃー!光ちゃん大丈夫!?」

背中をさすってくれる美綺姉に感謝。

うへぇー、久しぶりの大失敗って感じだ。

「ほら、こっちに顔を向けろ。」

ソフィアちゃんがハンカチで、口をゴシゴシ拭いてくれる。

ついでに汗も拭ってくれた。

「あ、ありがと。」

大分落ち着いてきた。

深呼吸。

「ところで光騎、私は待機していろと言ったはずだが?」

ちょっと怒った感じのソフィアちゃん。

左右のほっぺたをギュッ、と抓まれる。

「いふぁいよ、ソフィアひゃん。」

クイッ、クイッと引っ張られて、少し勢いをつけて離された。

「で、何の用なんだ?何か用があるから追ってきたんだろう?」

腰に手をあてて、ドンと構えるソフィアちゃんは、やたらと凛々しい。

「うん。モンスターの大群が現れたんだ。」

「それはわかっているさ。これから対策を練るところだ。」

「ダメなんだ。もっと早く対応しないと!」

言葉で説明するのは難しいかもしれない。

あくまでも僕が肌で感じたことだから。

それでも、伝えないといけない気がする。

直感に頼り過ぎているけど。

「すごくヤバい感じがする。

単にモンスターの数が多いだけじゃなくて、もっと底の知れない、得体の知れないものがいるような感じがするんだ。

きっと、いつもの対応だと間に合わない!」

思ったこと、感じたことを言葉にしてぶつける。

「……。」

真剣な表情で僕の言葉を吟味しているソフィアちゃんと、成り行きを見守る美綺姉。

ソフィアちゃんは数秒の思考で結論を出したようで、微笑みを浮かべながら口を開いた。

「わかった。『勇者』殿の言葉を、感性を信じよう。」

よし。あのモンスター達への認識を改めてくれたなら、最善の対策を考えてくれるはず。

そして僕は、前に出て戦うんだ。

「僕は『零式』で、北部のモンスターを引き受ける。北部の騎士隊は他に回してね。」

伝えたいことは伝えられた。

だから、後は行動。

『零式』のもとへ走ろうとして、

「待て光騎。」

ソフィアちゃんが呼び止める。

「『零式』で北部をまかせるのに異論は無いが、最低限の騎士隊は配置しておく。

それと、トリオンの防衛に関して言っておくことがある。

重要なことなので、頭に叩き込むように。」

僕がコクコクと頷くとソフィアちゃんは説明を開始した。

「トリオンには重要拠点が五つある。東西南北にそれぞれ一つずつある装置。

これは浮遊と推進の二つの役目を担っている。

これが三基破壊された場合、トリオンは墜ちる。

二基なら高度を落としながらも、なんとか浮いていられる。だから、最低でも二基は死守だ。

そして、城の地下にあるのはそれらへエネルギー供給をする装置。

これを破壊された場合は、すぐに墜ちることは無い。

しかし、四基に蓄えられたエネルギーが無くなり次第、トリオンは墜ちる。」

「あー、この前聖ちゃんが言ってたよ〜。」

美綺姉が相槌を打つ。

「じゃあ、最低限、東西南北の内の二基と、エネルギー供給装置を守らないといけないんだね?」

「エネルギー供給装置が破壊された場合、トリオンの舵を取って適当な場所に不時着させるのも手の一つだ。」

これは最後の手段だ、と付け加えるソフィアちゃん。

確かに不時着させた場合、墜落よりはマシとはいえ、かなりの被害が出るだろう。

「わかった。北部は任せて。あと、聖ちゃんも連れていくから。」

「了解した。」

「頑張って光ちゃん!危ないと思ったらきっちりすっぱり撤退するんだよ!」

心配そうに送り出してくれる美綺姉に親指立てて、ニカッと笑いかける。

「皆も気を付けて!」

心からの言葉を置いて走る。

一分一秒も惜しい。

風を切って走る。

風が香る。

濃い闇の気配。

腐臭のような黒いものが、トリオンを囲みつつあった……。





あとがきっぽいもの。
作者「やる気がごっそり抜けてましたが、なんとか書けるものですな。」
麻衣「盛り上がってくれば自然と執筆速度は上がるんじゃないですか?」
作者「うむ。ノってる感はある。テンポ良くいきたいところですな〜。」
麻衣「春休みが終わるまでには、光騎さん達の物語を書き上げたいところですね。」
作者「まぁね〜。今まで温めていた話だけに、ペース良く書けるはず!」
麻衣「逆に大事にしてるだけに、なかなか進まない恐れが・・・。」
作者「とりあえず、やるっきゃないぜー。」
麻衣「頑張ってくださーい♪」
                    おわり



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