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「現在確認した情報によると、トリオンの東部では誰かがモンスターを押さえているようだ。」

会議室にて。

トリオン防衛戦の作戦を思案中のメンバーは、奏歌、ソフィア、朔夜、美綺、

名前が無い騎士隊の隊長とか、参謀の人とか、トリオンの偉い人とかであった。

実際に戦う人間は発言力が大きく、後方で考えたりするだけの人間は発言力が小さい。

実力主義と言えなくもないトリオンの実情。

「北部は光ちゃんが押さえてるから、西部と南部にどう振り分けるかよね。」

美綺はうーん、と唸りながら様々な組み合わせをシュミレートしてみる。

光騎のことでは理屈じゃなく感情で動いてしまう。

しかし、本来は思慮深く広い視野を持ってグイグイ引っ張ってゆくタイプである。

委員長とかやらせると、いい感じで場を盛り上げて話をまとめてくれるのだ。

光騎が関わると、何をおいても光騎優先になるのが玉にキズだが。

「数が少ない魔銃隊を上手く使わなければなるまい。

弓隊、魔術師隊との連携で、飛行能力を持つモンスターを優先的に始末だ。

トリオンに取り付いたやつは、騎士隊で排除。

有志による警護団は、民間人の守りを担当してもらおう。」

朔夜がトリオンの地図の上にそれぞれの駒を配置していく。

「正確な規模が判ればもう少し作戦の立てようがあるのだが、判らないものは仕方ない。

こちらの戦力の数倍はあると思って戦略を立てよう。」

「そうなると、籠城も選択肢の一つですね。あまり考えたくはありませんが……。」

ソフィアは城の地下にある浮遊装置へのエネルギー供給装置が気掛かりだった。

(あの闇の軍勢の目的がトリオンを墜とすことならば、エネルギー供給装置が狙われる可能性は極めて高い。

もし城にたてこもらなければならなくなった場合、エネルギー供給装置のある城が一番危険な場所かもしれない……。)

「朔夜さんは後方で待機ですよね?

美綺さん、ソフィアさん、貴人君、眞彩ちゃん、私の5人。

南部は敵の数が少ないから、2人ですかね?」

奏歌の言葉に皆が頷いた。

貴人と眞彩は会議に参加していない。

頭を働かせることは他の人におまかせなのであった。

信頼という名の怠惰である。

「前に出て戦えるソフィアちゃんと貴人君は分散ね。

で、ソフィアちゃんと奏歌ちゃんは回復も出来るから分散決定なので、貴人君と奏歌ちゃんが組むのは決定。

南部に比べて西部のほうがモンスターの数が多いから、レベルの高い人に担当してもらおうと思うの。

だからソフィアちゃんは西部に。

自動的に貴人君と奏歌ちゃんは南部に。

西部に私と眞彩ちゃんが回って……、こんな感じかな?」

美綺の提案に異議を唱えるものはいない。

トリオン防衛戦の各員の配置が決まった。

東部・輝。

西部・ソフィア、眞彩、美綺。

南部・奏歌、貴人。

北部・光騎。

それぞれの場所に配備された騎士隊は、トリオンに取り付いたモンスターを駆逐。

そして警護団と連携を取りながら民間人の保護を行なう。

西部、南部に魔銃隊、弓隊、魔術師隊を配備し、飛行能力を持つものを墜とす。

防衛に徹することしか今は出来なかった。

敵の意図、恐らくは純粋なる破壊。

それを阻むには、ただ生き残るしかない。

圧倒的に分の悪い戦いが幕を開ける。

「なにがなんでも生き残るしかない。それが一番の反抗になるはずだから。」

ソフィアは凛として言葉を紡いだ。

これから起こる戦いを前に怯むことなく背筋を伸ばし、瞳に光りを灯している。

「敵が闇なら照らせばいい。子供でも解る道理だ。」

不敵な笑みを浮かべる朔夜。 やけに頼もしかった。

「理不尽を連れてくるものは、どんなものでも排除しますよ。」

パキパキと拳の関節を鳴らす奏歌は、武者震いを押さえながら言い放つ。

「なにはともあれ、光ちゃんとの幸せの未来を掴むために踊りまくる所存ですっ!」

なんやかんやで、結局はそんな結論に至る美綺である。

はっきりいってやる気は誰にも負けない。

4人は無言で拳をゴツンとぶつけて、お互いの健闘を祈った……。



トリオンに近付く闇。

今はまだ遠くにある深い黒の軍勢があった。

巨大な漆黒の怪鳥の上に両腕を組んで、尊大な態度でトリオンを見下ろすもの。

夜よりもさらに暗い気配を漂わせ、生きとし生けるものに絶望をもたらすもの。

「クックックッ、どうあがき苦しむか見物だなぁ!」

さも愉快そうに笑う姿は、その純粋さゆえに無邪気そのもの。

その存在はただの闇。

覆しようのない悪。

そのモノの名は魔王。

あらゆる時と場所で畏怖される存在。

それは嘲笑いながら、トリオンの抵抗を眺めていた。

「しかし、雑兵では興が削がれる。」

指をパチリッと鳴らすと、魔王の周りに4つの闇の気配が現れた。

翼を持つ高位のデーモン。

『お呼びですか?』

4体のうちの代表格らしい1体が口を開く。

高位のものゆえに、理性的な顔と態度で用件を尋ねた。

「殺せ。」

魔王が短く命令を下した。

『御意。』

魔王の命に簡潔に応えると4体は黒い翼を広げてトリオンへと飛びたった。

「さぁ、人間共よ!我にとくと絶望を見せるがいい!」

狂喜に彩られた表情。

その存在に賭けて、世界に絶望を振り撒く。

魔王にとって自分も世界も、ありとあらゆるものは、いらないもの、必要無いものとしか認識出来ない。

魔王とはそういう存在であった……。



あとがきっぽいもの。
作者「ノってきたので執筆速度は上がるかもね!」
麻衣「魔王が出るとノってくるとか……。」
作者「そ、それはどうかな……。」
麻衣「とっても歪んでますね。」
作者「……うむぅ。」
     おわり



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