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「光ちゃん!!?」

「お兄ちゃん!!?」

「光騎君!!?」

「光騎!!?」

四人が弾かれたように一斉に飛び出した。

『ギャハッ!ギャハハハハハハハッ!美味である!お前達の絶望は大変美味であるぞ!』

狂喜乱舞。

歪みきった感情と闇が干渉しあって、霧のような真っ黒の闇が踊り跳ねる。

闇に触れるわけにはいかず、四人の足が止まった。

「そうだ!光騎を召喚すればいい!」

ソフィアはさっきの戦いを思い出し、眞彩のほうへと顔を向けた。

しかし、眞彩は青ざめた表情で首を振る。

「繋がらないの!お兄ちゃん、レベルが上がっちゃったみたいで喚べない……。」

二体の巨人を倒した時点で光騎のレベルは四では無くなった。

今、レベル四である眞彩に光騎を召喚することは出来ない。

「何とか魔王を突破して、ペガサスで光騎を拾いに行くしかないか……っ!?」

剣を抜き放ち、闇を払う奇跡を紡ぎ出すソフィア。

「奏歌ちゃん、その剣貸して!私が光ちゃんを助ける!」

ひったくるようにして奏歌から剣を奪って、闇へと駆け出す美綺。

精神力が注ぎ込まれた剣に光の刃が現れる。

いくつもの闇の手を斬り払いながら、その歩みを止めることは無かった。

「うわあぁぁぁぁ!」

蝶のように軽やかな動きで剣を振るい、しなやかな体捌きで距離を詰めてゆく。

「聖光弾!」

美綺が取り溢した闇の手を撃ち払いながら、死角をカバーするソフィア。

二人は上手く連携を取りつつ突き進んだ。

「サモン・聖光弾!」

闇を撃ち抜いて空を飛んでいった聖光弾を召喚して、再利用する眞彩。

奏歌は青い顔をしながら、両拳に聖なる力を纏わせて闇を潰す。

『足りぬな!四人がかりでその程度か!』

腕を組んで余裕の表情を浮かべたまま、蔓延させた闇に四人の相手をまかせる魔王。

四人は焦った。

魔王本体に一撃すら入れることが出来ず、光騎を助けに行けないことに……。



見上げれば空。

澄みきったそこに、約束の地がある。

手を伸ばせば届きそうな感覚。

いや、実際、そこは地上に近付いていた。

「高度と速度が下がっているな。」

ふん、と鼻を鳴らして事実を述べる。

「何かあったんじゃないか?最近、物騒だしよー。」

ガハハッ、と豪快に笑い飛ばす。

「……あれが空中都市トリオン……。」

一人真剣な瞳でトリオンを見上げる。

その心に決意を秘めて小屋へと駆けた。

「どうしたんだよ?」

ただごとではない雰囲気を感じとり、呼び止めた。

髪をなびかせて振り返ると、

「私、行きます!トリオンへ。光騎さんの所へ!」

眩しすぎる笑顔で麻衣はそう言った。

完全装備。

手に入れた武具、使い込んだ武具を身に付けて旅立ちの装い。

「……よし。」

準備万全で小屋から出ると、九条とダイルの二人が麻衣を待っていた。

「九条さん、ダイルさん……。」

その先の言葉を紡ごうとしたら、九条に遮られた。

「おっと、ここでお別れなんて無しだぜ?俺達も一緒に行くことにしたから。」

「おう。何かトラブってるんなら人手があったほうがいいだろう。

トラブルが無いなら無いで、強い奴を求めてどこまでもってな!」

ニヤリッ、と笑う九条とニッカリ、と笑うダイル。

二人は己の剣だけを持って見知らぬ土地へと向かう。

いつだってそうしたきたから、次もそうやって道を拓いてゆく。

麻衣はなんだかとても心強くて、心から浮かび上がる微笑みと共に頷いた。

『で、どうやっていくんだ?』

カクンと首を傾けて麻衣に尋ねる二人。

微妙に頼りにならないのであった。

「コキュートスを使います。」

麻衣はトリオンまでの距離を測るように空を見上げた。

鞘から抜き放ち、地面に突き立てる。

「あー、そういうことね。」

九条は納得したと言わんばかりに頷くと、麻衣の傍に寄る。

「え?どゆこと?」

訳分かってないダイルだが、九条に倣って麻衣の傍へ。

ビキッと音を立てて、地面が凍り始めた。

面積としては畳一畳程の広さ。

「しっかり捕まっていて下さい。」

麻衣の忠告を聞いて、二人は麻衣の肩に捕まった。

「……もしかして、これってけっこう怖いのでは?」

ダイルが若干不安そうな表情をしている。

「間違い無く、高所恐怖症には堪えるな。」

平気そうな九条。

むしろ、楽しみな感じだ。

「行きます!」

力を込めてコキュートスを握る。

注がれる精神力で創られるのは、天を衝く氷の柱。

「氷柱天衝!」

氷の魔剣コキュートスの力が解放される。

次々と生成される氷が高さを増してゆく。

まるでエレベーターにでも乗っているような感じ。

修行の場としていた迷いの森を越えて、かつて戦った巨人の背を越える。

トリオンへとめがけて突き進む氷の柱。

遮るもののない、ただ目的地へと続く空という名の道をひたすら真っ直ぐに。

天を見上げて想うのはただ一つの想い。

(……光騎さん、もうすぐ会える!)

麻衣の想いを反映するかのように加速する。

トリオンの底辺が肉眼で確認出来る程の距離に近付いた時、

「ん?墜ちてくるあれって、人じゃね?」

九条が指差した先に、剣一本だけを持って落下する少年の姿があった。

麻衣の瞳、鷹の目がその姿をはっきりと捉えた。

「光騎さん!?」

麻衣の心臓の鼓動が早くなる。

一瞬にして氷の柱と光騎の落下速度、距離を優れた空間把握能力で理解すると、氷の柱を軌道修正。

光騎の真下に来るように調節すると、

「九条さん!ダイルさん!受け止めるので手伝って下さい!」

有無を言わせない剣幕にコクコクと素直に頷く二人。

光騎を受け止めるために面積を広げ、衝撃を和らげるためにパウダースノーを創り出す。

三人で光騎へと手を伸ばした。

刹那の時、光騎と麻衣の目が合った。

「光騎さん!」



墜ちる。

逆らうことも出来ず、重力の為すがまま。

放り捨てられる瞬間にチラリ、と見えた魔王の顔は嘲りに満ちていた。

力の差を見せつけられた。

……あぁ、このまま魔王を止めることが出来ずに死ぬのか。

「……嫌だ。」

このまま終わることは出来ない。

どうにかして墜ちるのを止めないと!

「勇者の武具を使うしかないか!?」

空、飛行、落下、連想させて思い浮かぶものはなんだ?

バシバシと当たる風が思考を妨害する。

こんな状況では落ち着いて考えてなどいられない。

「……ん?」

あれはなんだろう?

地上からトリオンに向かってくるもの。

柱?

勢い良く伸びているそれは、僕の真下に位置している。

目を凝らすと三人の人影。

どんどん距離が縮んでゆく。

肉眼で捉えられる距離まで近付いた時。

そこには年下の幼馴染みの姿があった。

「光騎さん!」

「麻衣ちゃん!」

麻衣ちゃんが手を伸ばす。

その手に向かって僕も手を伸ばした。

知らない顔の二人も手を伸ばし、僕を受け止める態勢。

僕と麻衣ちゃんの顔が触れ合うぐらい近付いた瞬間。

「とりゃあぁぁぁ!」

「ふぅんっ!」

引っ張られ、持ち上げられ、グルッと回転したりで、

遊園地のアトラクションのような軌道を僕の身体が描いた後、新雪のような場所に放られた。

「麻衣たんに気安く近付く奴は許さん!」

「うむ。処刑だな。」

頭がクラクラしている所に、知らない男の人達が殺気ムンムンである。

「二人は黙っていて下さいね♪」

ニコッと二人に笑いかける麻衣ちゃんは、本気で怒っている気配。

大の男二人がガクガクと震えている。

「大丈夫ですか?光騎さん。」

慈しむような優しい笑顔。

たった一ヶ月半ほどとはいえ毎日のように顔を合わせていた日々のことを思えば、

それは間違い無く懐かしく、愛しいものだった。

「うん、大丈夫だよ。……麻衣ちゃん、また会えたね。」

麻衣ちゃんの笑顔と空の青と様々な感情が混ざりあって、思わず涙が溢れてしまいそうな笑顔が生まれた。

嬉し泣き?泣き笑い?

さらりと風に流れる麻衣ちゃんの髪。

抱き寄せたくなったところに、

「あー、えー、そろそろ目的地に到着しそうなんだが、何か言っておくこととかあるんじゃねぇの?」

そうだった。

和んでいる場合ではない。

「今、トリオンは大変なことになっているんだ……。」

これまでの経緯をかいつまんで伝える。

お互いの自己紹介もスパッと済ませた。

「ふっ、魔王か。腕が鳴るぜ!」

「安心しろ光騎!俺達が来たからには余裕だぜ!」

なんだかやたらと頼もしい二人。

なんとなくだけど、麻衣ちゃんのほうが強そうなのは気のせいなのだろうか?

「トリオンに出たら、一気に先制攻撃を仕掛けましょう。

光騎さんがフォワード、九条さんとダイルさんがフォロー出来る位置をキープしながらセンター。

手数の一番多い私は、バックスから臨機応変に対応します。」

麻衣ちゃんの提案に頷く一同。

「おっと、その前に麻衣たんにこれ。」

九条さんが麻衣ちゃんに液体の入った小瓶を渡した。

「これは?」

「精神力を回復するポーション。コキュートスを使って消費しただろ?魔王には万全の態勢で臨まないとな。」

麻衣ちゃんは頷いて受け取ると、一気にあおった。

表情を見ると、あんまり美味しくはないようだ。

九条さんがチラリと僕のほうを見て、ニヤリッと笑った。

……なんなんだろう?

「俺の方が甲斐性がある。」

なぜか自信たっぷりに宣言された。

「あっ、光騎さん。さっき、この剣落としましたよ?」

「え?」

いつの間にか神牙偽刀を手放していたみたいだ。

「麻衣ちゃん、ありがとう。」

花のように笑う麻衣ちゃん。

「ダメだ九条!俺達眼中に入ってねぇ!」

「くっ!?いくら貢いだところで無駄なのかぁー!?」

せっぱつまった戦いが始まる割に、いまいち緊張感の欠けたムードだった……。



あとがきっぽいもの。
作者「麻衣ちゃん合流〜。」
聖「なので、我がここにおる。」
作者「本編忘れ去られ気味だからねー。」
聖「寂しいことよのぉ・・・。」
作者「誰も持ち上げることが出来ないから、仕方ないぜよ。」
聖「城門から応援するかの。」
作者「さて、話は変わって麻衣の完全装備について。」
聖「うむ。具体的にはどのような感じだ?」
作者「えー、以下に羅列していきます。」
コキュートス
聖剣グングニル
魔力弓
魔力矢
魔力短剣(数本)
収納の小手
刀夜の盾・レベル2(不可視の力場・複数展開可)
武器化の指輪
盾化の指輪
白い外套(炎・冷気に耐性)
その他細々したモノ
作者「大体こんな感じ。」
聖「たくさん武装しておるな。」
作者「これらを上手に使って戦いますよ。」
聖「やりくり上手じゃな。」
作者「きっと、いいお嫁さんになるでしょう〜。」
          おわり



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