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光は闇を呑み込み、地を削って空を駆け抜けた。

光の刃の威力を物語る爪痕が、地面に残っている。

静寂。

あっという間の攻防だったため、この静けさが妙に心地悪い。

しかし、爽やかな風が吹いて、胸の高鳴りを鎮めてくれた。

「……やったのか?」

九条が辺りを見渡しながら呟いた。

「気配は無いよな。」

ダイルは吹っ飛ばされた時に打ちつけた腰を押さえながら言った。

「光騎さん、大丈夫ですか?」

麻衣がいそいそと光騎のほうへと駆け寄る。

「大丈夫だよ。ちょっと擦りむいただけだから。」

魔王に吹っ飛ばされた時に膝を擦りむいたらしい。

「大変です!破傷風にでもなったら!」

「いや、このぐらい平気だよ。」

「ダメです!ちゃんと消毒して、包帯巻いて治療しないと!」

腰に提げたポーチから色々取りだそうと、わたわたしている麻衣。

後ろからトコトコと近付いてきたソフィアが光騎に『癒し』の奇跡を使った。

「あ、ありがと、ソフィアちゃん。」

「うむ。」

ソフィアは頷くと、フフンッと胸をそらして自慢気に麻衣を見た。

挑発的な目線に一瞬怯む麻衣だが、負けるもんかと目線を反らさない。

「……てか、もはや見向きもされないことに超傷つくぜ……。」

むしろ光騎よりダメージの大きいであろうダイルなのだが、泣きそうな表情をしていた。

「……恋は盲目ってやつさ。修羅場っちまえと思うよ。マジで。」

九条とダイルはジト目で光騎の背中を見ていた。

「……なんだかゾクゾクするんだけど。」

光騎はゾクリとする悪寒で体を震わせた。

「よーし、じゃあ私が温めてあげるぅー♪」

満面の笑顔を浮かべた美綺が、光騎を愛情たっぷりに抱き締めた。

「んふっふっー♪」

愛しすぎて、頬擦りが止まらないのである。

戸惑う光騎は為すがままである。

「お兄ちゃん〜♪」

その光景を見てると、自分も抱きつきたくなって光騎の元へと飛び込む眞彩。

「えっへへー♪」

光騎にしがみついて、ここぞとばかりに甘える眞彩であった。

そして、やはり出遅れる奏歌。

「……うぅ、いっつもこんなんばっかだ。」

それでも光騎の傍へ行こうとしたら、精神力の使い過ぎでフラフラとよろめいた。

「あっ、と、大丈夫?奏歌ちゃん。」

とっさに手を伸ばした光騎が奏歌を支えて、顔を覗き込んだ。

顔色の悪い奏歌を心配する表情。

「う、うん。なんとか大丈夫……。」

なんだか満足してしまった奏歌。

謙虚なのである。

光騎は奏歌を支え、美綺と眞彩に抱きつかれた状態。

さらにソフィアと麻衣を至近距離に配備。

「ふっ、勇者たるものが女にうつつを抜かすとはな……。」

ダイルが厳かに呟く。

「……お前、涙流してるぞ。」

九条が気だるげにツッコミを入れる。

「鼻水だ。」

「いや、せめて汗と言ってくれ。」

「……そういうお前こそ、涙がとめどない感じだぜ?」

「羨ましくなんかないぜ……。」

大の男二人が涙を流して光騎を羨ましそうに見ていた。

「ははは、切ないねぇ〜。」

「む?」

お気楽な笑い声の方へと振り向くと、輝が軽そうな笑顔を浮かべて立っていた。

「あ!てめぇ、俺から武御雷をカツアゲしたやつじゃねぇか!」

「いや、それよりブチ殺されたことのほうが問題だっての。」

九条は輝へと詰め寄り胸ぐらを掴んだ。

「あー、あー、……誰だっけ?」

本気で覚えていない表情。

輝にとって剣を得ることが何よりも優先事項のため、

誰が関わったとか、誰をぶった斬ったとかいちいち覚えちゃいないのである。

「ふっ、決着をつけてやろうじゃねぇか!」

輝を突き飛ばして、刀を抜き放つ九条。

輝とダイルはやれやれといった表情。

「んー、ちょっと僕、疲れてるんだけど。」

正直なところ、疲労半分、面倒半分。

「関係ないね。」

九条はきっぱりと言い放った。

輝はうーん、と考えを巡らせて口を開いた。

「魔王との戦いで消耗しちゃってるところをここぞとばかりに攻めてくるのかぁ……。

そっかぁー、圧倒的に不利だけど避けられないかぁー。」

これみよがしに溜め息をつく輝。

同情を求めるように、ことさら疲れた弱々しい笑みを浮かべる。

「くっ!これじゃあ、卑怯者みたいじゃねぇか!?」

「いや、卑怯だろ。」

「卑怯ですね。」

ダイルと麻衣が口を揃えて言った。

九条は、むぅ、と低く唸ってから、

「……仕方ない。麻衣たんの顔に免じて俺から退いてやろう。」

苦々しい表情で刀を収める。

「あれ?俺も言ったんだけど……。」

ないがしろにされたダイルは、でかい図体を縮ませてやさぐれることに。

「まぁ、『復活の指輪』があったから殺しても大丈夫だと判断したんだろうけど。」

九条とダイルの指に嵌っている『復活の指輪』を指差して言った。

「あん?こいつを知ってんのか?」

「よく知ってるよ。前の戦いの時、かなり重宝されたし。それに、僕も持ってるんだ。」

ほら、と言って手を掲げた。

かすかに太陽の輝きを思わせる、綺麗な宝石が埋められた指輪。

九条達のものとは若干形状が違った。

「本当に『復活の指輪』かぁ?形が違うじゃねぇか。本物かどうか試してみねぇ?」

ニヤリッと笑う九条。

「死んでみろって?試さなくてもわかってるさ。これは間違いなく本物。

なにせ創造されたてを受け取ったんだから。むしろ、君の持っているほうが……ぁっっっっ!!?」

輝が目を見開いたかと思うと、大量の血を吐いた。

いや、血が出ているのはそこだけではない。

腹を貫く漆黒の腕。

それは噴き出す血に染まり、赤黒い色となっていた。

『ギャハッ!ギャハハハハハハハハハハッ!油断したなぁ!魔剣王よ!』

ゆっくりと崩れ落ちる輝の背後に、ゆらりと立っているは鮮血を巻き散らす魔王。

暗く澱んだ空気が辺りへ蔓延する。

おぞましい魔王の嘲笑い声が響いた……。



あとがきっぽいもの。
作者「持ち上げておいて落とすみたいな?」
聖「……そう簡単には滅ぼせぬということじゃな。」
作者「まぁ、ここで倒しちゃったら物語が終わっちゃうし。」
聖「身も蓋もない言い方だのぅ。」
作者「とにもかくにも続きをお楽しみに。」
聖「うむ!」
作者「さて、話は変わりますよ。」
聖「む?」
作者「選択肢を用意すると宣言していましたが、やめます。」
聖「なぜじゃ?」
作者「より盛り上がるほうというか、ハッピーエンドの方向へ向かうためですな。」
聖「ふむ。」
作者「あと、キャラが勝手に動き出したので、作者の意図しない方向に向かってたり・・・。」
聖「むー、それは良いことなのだろうなぁ・・・。」
作者「収拾がつかなくなったらどうしよう?」(笑)
聖「ははは。」
                  おわり



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