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ここへきて最速の踏み込み。

今、光騎の速さは九条と並ぶ速度に達していた。

「やるな!」

九条の賞賛の言葉。

九条の二刀と光騎の神牙偽刀の三本の剣が、いや、光騎の手にはもう一本の剣があった。

それは光騎の精神力を吸って聖なる刃に変換する剣。

美綺から渡された剣である。

四本の剣がせわしなく魔王へと迫りくる。

『ぬぅっ!?』

障壁も無く二人の相手をするには手が足りなかった。

さらに魔王にとって厄介だったのは、聖なる刃を生み出す聖剣。

その存在に闇がある限り、絶対的な攻撃力を発揮する剣。

魔王の剣で受けたところで、ただその箇所を溶かすだけなのだ。

『……厄介だ。だが、決定打にはなりそうにないな!』

斬撃の檻を力でもって押し返す。

しかし、空いた穴をダイルと輝と上空の麻衣が上手くカバーした。

即席でありながらも五人は連携をとって戦っていた。

暗闇に負けない強さで輝く光
それは勇気
それは希望
手を取り合って
しっかりと手を繋ぎ
明日へと共に向かってゆく姿は
一点の曇り無き蒼天のよう

美綺の歌声が光騎達の背中を押す。

体と心が軽くなって、どんな敵にも立ち向かえる気がした。

『……。』

しかし、それでも足りないのだ。

根本的な問題。

たかだか、基本能力にプラス1や2したところで足りやしない。

魔王とは、この世界全ての闇そのもの。

世界を相手にたったそれだけの力で挑むことが間違いなのだ。

『……。』

無表情の魔王。

もう、なにもかもがどうでもよくなった。

元からあらゆるものに興味を抱く訳も無く、世界そのものでありながら孤独。

自分以外を破壊することでしか、自身を保つことは出来ない。

澱んで、腐りきった汚泥の内より生まれた存在ゆえに、

『この世全てを闇に染めてやろう!』

吹き荒れる闇風。

魔王より放たれる暴風が、容赦無く光騎達へと叩きつけられる。

「うわぁぁぁっ!?」

魔王を囲んでいた光騎、九条、ダイル、輝が為す術無く吹き飛ばされた。

すかさずフォローに入ろうとしていた上空の麻衣へ向けて、魔王の剣から巨大な黒い斬撃が放たれる。

「くっ!」

麻衣は刀夜の盾を複数展開した。

しかし、防御力が足りずに何の抵抗も出来ずに無残。

とっさにコキュートスで氷の壁を張り、グングニルを盾化して黒い斬撃を受ける。

それでも威力を殺し切れずに空へと打ち上げられる麻衣。

『死ね。』

体勢を崩した麻衣へ再び放たれる黒い斬撃。

「くっ!浄光剣!」

ソフィアは残り少ない精神力を使って、聖なる斬撃の奇跡を紡ぐ。

黒い斬撃へと追い付き相殺。

麻衣は体勢を立て直し刀夜の盾を足場にして地面へと着地する。

「ソフィアさん、ありがとうございます!」

ソフィアは手を振って応えるが、足元がふらついていた。

『フッ、命拾いしたな。だが意味は無い。』

ただ軽く剣を振るう。

それだけで重く暗い闇の斬撃が放たれる。

「ちっ!いくぞ、ダイル!」

「わかってるぜ!」

二人は前に出ると、連続して放たれる斬撃を受け止めるべく剣を構えた。

一撃、二撃はなんとか耐えることが出来た。

後の攻撃は、その身を盾にして受け止めるのみ。

「オオォォォー!!!『勇者の盾』発動!」

九条は血を吐きながら勇者の盾レベル3を発動させた。

ただ仲間を闇から守るための、名も無き盾。

『ハハッ!いつまで保つかな!?』

盾が削れてゆく。

それを支える九条の腕が、足が、体が軋む。

「ちっ!魔王の剣、厄介だぜ……っ!」

激痛が走り顔を歪ませる九条だがひたすら耐える。

亀裂が走るように腕が裂ける。

血が流れる。

とめどなく流れ、その身から流れ尽くしてしまった。

立ったまま息絶える九条。

勇者の盾は消え去り、黒い斬撃は九条の体を刻んでこまぎれにしていった。

「ぬりゃあぁぁぁ!」

ダイルは大剣を力任せに振るって、黒い斬撃を押しとどめようとした。

肉体そのものを防波堤に黒い斬撃へと立ち向かい、中身をぶちまけながら崩れ落ちた。

『脆い!脆すぎる!』

陰惨な笑みを浮かべ、蹂躙してゆく魔王。

二人の死体を踏みにじりながら歩みを進めてゆく。

『さぁ、次は誰が死んでみる?』

魔王の剣を肩にかついで、光騎達を挑発するように見渡した。

輝は剣が丘から新たな剣を取り出した。

それは透き通ったガラス細工のような剣。

「……仕方ない、賭けに出る。」

『まだ力のある剣を持っていたか。』

魔王は無駄なあがきと嘲笑う。

「光騎君、ちょっと力を貸してくれる?」

輝に手招きされた光騎は素直に近付いた。

そして、目にも止まらぬ速さで輝の剣によって胸を貫かれた。

「……え?」

一瞬何をされたかわからず、時が止まる。

ゆっくりと胸に刺さる剣を見てから、輝を見た。

「な、なんで?」

輝は剣を引き抜き、剣を収納する。

「光ちゃん!?」

「光騎さん!」

美綺や麻衣達が悲鳴を上げ駆け出そうとしたのを輝が手で制した。

「時を越える剣・クロノス。

どれぐらい時を越えるかも、どれぐらい越えていられるかも全部ランダムだけど、これに賭けるしかないんだ。」

輝がその言葉を言い終えると、光騎の体が光に包まれ粒子へと分解されてゆく。

空気がざわめき、まるでお祭り騒ぎのように光の粒子がそこかしこから集まると、再構成された。

光が収まり、時を越えて現れたのは圧倒的な存在感をもった青年。

ゆっくりと瞼を開けて辺り見渡す。

「……んん?あぁ、あの時、あの場所か。」

吸い込むトリオンの空気と、禍々しい魔王の気配が妙に懐かしい感じがした。

『……魔剣王よ、何をした?』

思わず警戒せざるを得ない存在力。

「いやぁ、まさか予想外に好転の気配だ。」

輝は一安心したような笑顔を浮かべる。

まさか、自分より大きい存在力を持っているなんて、予想出来ようか?

「おおー!美綺姉、可愛い〜♪」

「へ?」

危機感ゼロでいつの間にか美綺の背後に回りこんだ。

遠慮なく抱きしめる。

「ほわぁぁ〜!?」

「ん〜、抱き心地よいねー。あー、持ち帰りてぇな〜♪」

頬擦りしつつ、首筋にキスの嵐。

「こ、光ちゃんってことは分かるんだけど、何か違うような!?」

あたふたとしながらも結局は無抵抗な美綺。

というか、抵抗出来ないほど巧みな光騎。

「さーて、お次は麻衣ちゃ〜ん♪」

腰砕けになった美綺の次に手を伸ばしたのは麻衣。

「わ、わ、わ〜!?」

間合いにあっさりと入られ腰に手を回される麻衣。

軽く抱き寄せられて、髪に、おでこに、頬にキス。

「……相変わらず、麻衣ちゃんはいい匂いだな〜♪」

「ふわぁぁぁ!?」

言葉に出来ず、気絶しそうになる麻衣。

そんな感じで、奏歌、ソフィア、眞彩にも手を出してゆく大人版光騎。

『……余裕だな。』

「……はっはは。」

輝は笑うことしか出来なかった。

女の子が光騎の手によって戦闘不能に陥ったのは言うまでもない。

「や、やるな光騎。」

頬を赤らめたソフィアの光騎を見る視線が熱っぽかった。

「ん〜、充電完了!」

ツヤツヤした光騎は軽く柔軟体操なんかしつつ、魔王と対峙する。

『さっきまでとは随分違うな。』

「ははっ、そりゃまぁ時間が経てば人は変わるよ。それでも可能性の一つに過ぎないけどね。」

現在の光騎が落とした結界破りの剣を拾い上げた。

今の筋力に適した状態へと変化する。

『その剣ごときでは、我は倒せんぞ?』

嘲笑う魔王。

しかし、光騎はその言葉を一笑に付した。

「それはどうかな?」

ツカツカと構えという構えも無く、魔王へと近付く。

『死ねよ!』

黒い斬撃を放つ。

空気を斬り裂いて迫るそれを、

「ふっ!」

ただの一振りで打ち砕いた。

『なっ!?』

魔王にも輝にも誰から見ても、タネも仕掛けも無く簡単にかき消された。

「まぁ、なんていうか修行の成果?」

余裕たっぷりの笑みを浮かべて剣をブンブンと振り回す。

「せっかくだから、タネでも教えてあげようか?」

首を傾げる光騎。

そんな姿が嫌味にならない美形で大人っぽい光騎に女子は夢中である。

「ぜひ知りたいが、むしろモテる秘訣が知りたい。」

「俺も。」

いつの間にやら『復活の指輪』で蘇生していた九条とダイルが腕を組んで立っていた。

「ん?普通にしゃべったりしたら仲良くならない?」

光騎があっけらかんと言い放つと、九条とダイルがうなだれた。

「……参考にならないぜ。」

「……だな。」

ため息をつく二人。

「それでだけど、結界破りの剣があれば今のやつ出来ちゃうんだよね。」

『戯れ言を!』

さっきよりも巨大な斬撃が光騎へ放たれた。

光騎はやれやれと首を振り、軽く剣を掲げて黒い斬撃に触れさせるとそれを砕いた。

「これは結界、障壁を砕く剣なんだけど、

世界が認識してる障壁じゃなくて、『光騎』が認識してる障壁を砕く剣なんだよ。ここ重要だから。」

周りを見渡し、話を理解しているかどうか確認する光騎。

眞彩とダイルは聞いちゃいないが、他は真面目に聞いていた。

「……そうか、あの魔王の放つ斬撃さえも障壁と認識しているということか!?」

輝は目を見開いて、辿り着いた結論に驚く。

「正解♪いやぁー、一度思い込んだものを認識し直すのは苦労したよ。」

苦労を感じさせない笑顔で言った。

『クッ!?我が剣、受けてみろ!』

地を蹴り間合いを詰めようとする魔王。

「よっと!」

軽やかに剣を合わせる光騎。

その手に神牙偽刀は無く、己の能力のみで刃を合わせていた。

『我が押されているだと!?』

魔王は合わせられていることに、すぐさま感づいていた。

速くて重い斬撃が魔王の体を削ってゆく。

「このまま削りきれちゃうかなー?」

容易く魔王の斬撃を弾いては、魔王の体を斬り裂く。

さらに魔王は自身の異変に気付いていた。

削られた体が治らないのだった。



あとがきっぽいもの
作者「なんか中途半端に終わってるので、続きは早めに書きたいものです。」




お気軽に叩いてやってください、喜びます(笑)


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