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光の刃が、闇へと入り込んでゆく。
強制的に照らされている闇が、抵抗することも出来ずに消されていった。
『がああぁぁああぁぁぁーっ!!?』
こんなにも醜いものなのか、と思うほどの断末魔。
エクスカリバーを引き抜こうと手をかけるがそれも無残する。
魔王は今、圧倒的な力の前に為す術も無く滅びようとしていた。
「とりゃあっ!」
愛は聖剣を振り上げて魔王を斬り裂くと、そのままどんどん刻んでいった。
光に焼かれながら刻まれるのはただで済むわけはなく、もはやさっきまでの姿はみる影も無い。
終わりは近かった。
小さくなってゆく魔王の気配。
あれほど光騎達を苦しめた魔王は、聖なる光にのたうち苦しみながら消えていった。
「……ミッション・コンプリート。」
散りゆく闇。
爽やかな風が吹いた。
光の刃が消えたexcaliburを肩に担ぎ、身体の各所から噴き出していた光が収まっていった。
「……倒したの?」
光騎が呟くような声で言った。
輝や九条が探るようにして辺りを見渡す。
しかし、魔王の気配は無かった。
「……どうやら、終わったみたいだな。」
「そうみたいだね。さっきみたいに隠れてるかもしれないけど。」
未だ警戒を解かずにいると、愛が通常形態へと戻ったexcaliburをブンブン振りながら光騎達のところへ帰ってきた。
「付近を索敵しましたけど、闇の存在は感知しませんでしたよー。戦闘終了です♪」
Vサイン。
ほにゃ、とした笑顔を浮かべる愛。
光騎達は顔を見合わせると、
『やったー!』
歓声を上げてハイタッチなんかしつつ健闘を称えあった。
「……と言っても、愛ちゃんに全部持っていかれた気がするが。」
ソフィアがぼそっ、と呟く。
「零式って何?って感じだのぅ……。」
いつの間にか実体化していた聖。
二人は冷静にツッコミを入れていた。
「まぁまぁ、終わりよければ全て良しってことで!」
ダイルが二人の肩に手を置こうとしたら、ツイッとさりげなく二人はかわした。
あからさまに、しょぼんとなるダイルであった。
「一時はどうなることかと思ったけど、なんとかなって良かったね♪」
ススッと近付き、光騎に慣れた感じで抱きつく美綺。
眞彩も突進めいた勢いで光騎に抱きつく。
「お兄ちゃん分補給だぜぃ〜♪」
光騎は少しふらつきながらも二人を受け止めた。
二人の体温が心地よかった。
「……私もハグしたいなぁ。」
奏歌に肩を貸している麻衣が小さくため息をついた。
「す、すまねぇ麻衣ちゃん。私のために。てか、私も光騎君のところに行きたいけど。」
わたわたと慌てる奏歌だが、何気に本音が混じっていた。
厳しく激しい戦いが終わり、穏やかな空気が流れた。
トリオンを囲んでいた魔物は撤退し、街のあちこちで抵抗していた人々の歓声が上がる。
長い一日が終わろうとしていた。
「そういえば、魔王を倒したら元の世界に戻れるんだよね?」
誰に尋ねればいいかわからなかった光騎は、とりあえず輝に問いかけてみた。
「……送還が始まらないところを見ると、やっぱり君達の召喚は、理からはずれているみたいだね。」
目を細める輝。
凄みが効いた視線にたじろぐ光騎。
それからかばうように美綺が光騎の前にまわりこんだ。
もちろん抱きついたままだが。
「ごめんごめん、何もしないよ。どうやら、今回のことは裏に何かある。やっと確信したよ。」
輝の言葉に疑問符を浮かべる光騎達。
「……それはルールをねじまげている奴がいるということか?」
鋭い洞察力を発揮する九条。
「まぁ、その辺りの込み入った話は後日改めてってことにしよう。今日はみんな疲れただろうし。」
締めに入る輝。
確かに一同、疲労の表情。
『復活の指輪』を使った輝と九条とダイルは元気そうだったが。
「私も元気一杯ですよー♪」
どうやら疲れ知らずの愛。
眞彩と美綺を吹っ飛ばして光騎に抱きつく。
スタイル抜群なのに水着みたいな格好の愛に抱きつかれて、あわてふためく光騎。
しかし、がっちりとハグされて動けないのであった。
「わーにん!わーにん!光ちゃんの貞操の危機の気配!」
美綺が光騎から愛をはがそうとするが、全然動かなかった。
「零式のAIだった時は、全然スキンシップ取れませんでしたからねー。一気に取り戻します♪」
むん、とガッツポーズを取る愛。
谷間に溺れる光騎は虫の息っぽい。
「光ちゃんは生身の女の子のほうがいいんだからー!」
グイグイと愛を引っ張る美綺。
なんだかちょっと泣きそうだった。
「ふっふーん♪女の子要素完備ですよーだ。殆ど生体部品使ってますし〜。
少なくなった人類を増やす役目もあるんですからー。」
「……マジですか?」
詳細は解らないが、強敵が現れたことを認識した女子一同。
「なぁ、光騎狙うのやめて俺にしとかね?」
試しに美綺に尋ねてみる九条。
「それは無い!」
「ぬぅ……。」
即答されてヘコむ。
ダイルと二人並んでどこか遠い所を眺める。
「けっ、ここはどこのハーレムなんだよ!」
「……こんな世界滅びてしまえばいい!」
「ははは、魔王が復活しそうな絶望だね。」
輝も加わり、あぶれた男子が語り合う。
「あっ、俺も参加していいっすか?」
いつの間にか目を覚ました貴人が合流し、輪の中に入っていた。
「……もはやどうでもいいが、あっちにもう一人女子が増えた。」
「あぁ、朔夜さんっすね。何か、トリオンのエンジンがどうのこうの言ってましたよ。」
やる気なさげにダラダラムード。
「酒でも飲みに行こーぜ。まぁ、なんだ祝勝会?」
「いいねぇー。」
九条とダイルが立ち上がり、適当に街へと向かう。
「お供しまーす。」
貴人が二人についてゆく。
「つーか、お前誰?」
「色んな意味で仲間です。」
「……そうか。飲み明かすべ。」
「うぃっす!」
三人は肩を並べて戦場を後にした。
「うーん、僕も混ぜてもらおうかなー。」
「ちょっと待って下さい輝さん!置いていかないでー!」
「……グッドラック、光騎君。」
端から見てて幸せにしか見えなかったので、あっさりと見捨ててゆく輝。
とりあえず、世界に平和が訪れた。
それが束の間の平和だということを、うっすらと理解しながらも、人々は平穏を噛みしめる。
「次回、第三部の予告とか!」
「美綺姉、誰としゃべってんの?」
あとがきっぽいもの。
作者「たぶん、あと一回で光騎シナリオ終了です。」
リーア「前半終了ですね〜。」
作者「まぁ、ちょくちょくショートストーリーを書くつもりですけど。」
リーア「メインは後半の物語ですよね。」
作者「ちょいと忙しくなりそうなんで更新頻度は下がりそう。」
リーア「寝ないで頑張ってくださーい♪」
作者「……鬼か!?」
おわり
お気軽に叩いてやってください、喜びます(笑)
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