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「どわぁっ!?」

美形にとってあるまじきセリフ。

驚いたのだからしょうがないじゃないか。

浮遊藻とかいうモンスター、何か変なものが浮いているなぁ、と思っていたらやつだったわけで。

こういうモンスターが空中都市であるトリオンには出現するということを教わっていなければ、不意打ちをくらっていた。

藻が蔓みたいに伸びて襲いかかってくる。

剣を抜き放ち応戦。

体に絡みついてこようとする。

キモッ!

軽やかに斬り刻む、それが理想、実際はあたふたしながら対応していたり。

……もしかして浮遊藻ってレベル高いのか?

ちょっとずつ削れてはいるが、体力持つのか?

その時、さらにふよふよと漂ってくるものがあった。

浮遊藻Bが現れた!

マジで!?

浮遊藻達が集まっていく、なんと合体だ!

うわぁ、モジャモジャだー。

……泣ける……。

泣いていても仕方ないので、戦う。

無理っぽーい。

捌ききれなーい。

死ぬって!

「ああっ、もうっ!」

イラつきながらも、速度を上げて斬り捨てるが、合間を縫って滑りこんできた一筋の藻の触手っぽいのが足に絡んで、ククッ、と持ち上げるために力を込めた。

「うわぁっ!?」

片足が浮く。

抵抗出来ずにあっさりと持ち上げられてしまった。

やばい!

食われるのか、叩きつけられるのか、何をされるかはわからない。

でも、たぶん、死ぬ!

「『気斬』!」

ホバリングしている浮遊藻の触手が千切れとんだ。

「ぶほっ!?」

触手が千切れて俺の体は地面に落ちた。

まぁ、助かったからいいけど、ちょっと痛い。

「大丈夫?」

奏歌ちゃんが駆け寄ってきた。

今の攻撃は神官の奇跡で、奏歌ちゃんがやったのだ。

トリオンの東側は、俺と奏歌ちゃんの担当。

毎日、モンスターが押し寄せてうんざりしている。

「大丈夫。受け身取ったし。とりあえず倒してしまおうぜ。」

奏歌ちゃんは頷いて、剣を構えた。

いくら合体して強くなったとはいえ、二人がかりでは浮遊藻も為すすべなく、散っていった。

その後も何匹かのモンスターを狩って今日は帰路に着いた。

「いやぁ、今日もたくさん倒したなぁー。」

肩を回して軽くほぐしながら言った。

奏歌ちゃんも奇跡を何度か使っていて、お疲れのご様子。

「休み無しだと辛いわね……」

奏歌ちゃんはげんなりとして呟いた。

「てか、きりがないよなぁー。いつまでこんな風に戦ってりゃいいんだろ?」

このまま戦い続けていても、いずれジリ貧になる気がする。

毎回死傷者が出ているし、日に日にモンスターの数も増えている。

「トリオンの防衛もいいけど、魔王を倒さないとダメなんだろ?その辺どうよ?」

本来、トリオンは空を移動して盛んに交易をしていた。

だが、現状はほとんど交易を断っている。

なぜなら、避難してくる人達を受け入れることが出来ないから。

何も嫌がらせで受け入れないわけではない。

もう許容量が一杯で、むしろオーバー気味なのだ。

いつもなら、しばらくは交易する都市の上空に停留するが、最近は素通りである。

そりゃあ、時には食糧なんかを仕入れるために停留するが、避難民を受け入れることが出来ないために早々に出発する。

たぶん、そろそろ人々は精神的に限界が訪れるだろう。

恐らくの元凶である魔王を倒すか、モンスター達の凶暴化を止めるか、モンスターを皆殺しにするか。

どれを選ぼうにも、足りないものだらけだ。

かといって、どれも選ばなければ疲弊していって良くて泥沼、悪くて全滅。

後者濃厚。

何ともまぁ、分の悪いことで。

「一度、他のメンバーと情報交換したほうがいいかもね。」

奏歌ちゃんもお手上げといった感じで、力無く溜め息をついた。

この話題はどうも暗くなってダメだわ。

変えよ。

「ところで、光騎との進展はあったかぃ?」

俺はニヤリッと笑って尋ねた。

野次馬全開だな。

「全然皆無!」

ちょっと怒った感じで言われた。

「全然?」

「全然。ライバル増えたのが原因ね。」

きっぱりと言い放つ奏歌ちゃん。

奏歌ちゃんが言うには、愛ちゃんと聖ちゃんと微妙に朔夜さんが、光騎争奪戦に参戦して、現在はお互いに牽制しあっているそうだ。

隙あらば光騎に猛烈アタックをかけるようだが、いかんせん、光騎が鈍感なために大した成果も無いんだとさ。

「ははは、ところで、お姫様は?なんとなく参戦しそうな気がするんだけど。」

トリオンの王様っぽい人物ゲハルトさん、いや、王様じゃなくて、大統領とかのほうが合ってるみたいなんだがね。

選挙とかやるらしいし。

で、そのゲハルトさんの娘さんも、トリオン防衛に参加しているわけで。

「無いと思う。むしろ敵視してる感じがするのよね。私達、いきなり出てきて重要なことをまかせてもらってるじゃない?それがどうも気に食わないというか、『勇者』には頼りたくないというか。」

自分達の力でどうにかしたい、という考えを持っているんだろう。

まぁ、確かによそ者をあてにしてもらっては困る。

光騎は、なんか頑張ろうとしてるみたいだが俺はどうにもモチベーションがなぁ〜。

「じゃあ、けっこう光騎は苦労してるかもなぁ。お姫様と組まされてたし。」

「つっかかって来られて困ってるかも。」

少し心配そうな顔の奏歌ちゃん。

「そこから仲良くなるかもしれないけど。」

「ははは、まさかー」

「きっとツンデレだ。そういうベタな展開なんだぜ?」

「……そんなまさか……。」

戦慄の表情を浮かべる奏歌ちゃん。

小さく、ありうるかも……、と呟いていたり。

なんにせよ、光騎が羨ましいことになってるのは確かだ。

……まぁ、下手に恋人とか作っちゃうと、死亡フラグが立っちまうような気がしないでもない……。

当面の目標は生き残ることかなぁー。



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