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私にとって正直この世界がどうなろうと知ったことではない。

別に好き嫌いの問題ではなく、興味が持てないというだけの話。

まぁ、刀夜が『勇者』として頑張っていくのなら私は命を賭けて刀夜を守るだけ、そう思っていた。

だけど、刀夜は死んでしまった。

ただ私達は守られているだけだった。

絶望。

目の前が真っ暗になって、この世にいたくないと思った。

刀夜がいないということは、私にとっては闇の中を明かり無しで生きてゆくようなもの。

そんな世界で生きてゆくのに何の意味があるの?

世界は終わらないけど、刀夜を失った瞬間に私の世界は終わってしまった。

私は泣いた。

涙が枯れ果てても、心で涙した。

部屋の隅でうずくまり、悲しみに打ちひしがれて、そのまま死にたかった。

でも、刀夜を生き返らせることが出来ると知った。

刀夜の温もりを、あの笑顔を再び見ることが出来ると。

だったら、私の戦いは終わっていない。

私の命を賭けて、刀夜を取り戻す。

今、私を突き動かすのはそれだけ。

衝動にも似た本能。

刀夜に対する感情は、恋や尊敬や友情やらが複雑に入り混じったもの。

きっとそれは、愛とかいうものだと思う。

私は刀夜を愛しているんだ。

刀夜が全てに対して愛情を抱くように、私は刀夜を愛する。

だから、この身が砕けようとも刀夜との再会を果たす。

絶対に。

白い光の中を駆け抜けて、以前に訪れた白の部屋へと再構成した。

辺りを見渡し、各グループが固まって会議をしているのを確認。

他はどうでもいい。

私は刀夜を生き返らせるためだけにここに来たのだから。

ガイドに聞きたいことがある。

話はそれからだ。

「質問かな?確かシルビアといったか。」

上からのような物言いに聞こえて少しムカつく。

「手っ取り早く強くなる方法と、刀夜を生き返らせる方法を教えなさい。」

要件は簡潔に。

一秒でも惜しいから。

ガイドが呆れたような溜め息をついてから、言い聞かせでもするように口を開いた。

「強くなるにしても何にしても、一朝一夕で身に付くものではないぞ?」

「そんなことはわかってる。わかったうえで聞いている。あるはずでしょう?この世界なら。」

ありふれたお説教を聞く気はない。

この世界なら裏技のような手段で一気に力を得ることが出来るはずだ。

……刀夜が魔王と戦えたように。

例え高い代償を払うことになったとしても、刀夜を取り戻せるなら何をしたっていい。

私はガイドを睨みつけながら言葉を待った。

「……ふむ。」

何か考えこむようにして机に両肘をつき両手を組む。

勿体つけられているようでイライラする。

「君のクラスはなんだったかな?」

「魔術師。」

即答。

私の答えに頷くと、さらに少し間を置いてから、

「まずは魔術師のままで強くなる方法、もう一つはクラスチェンジによって強くなる方法だ。」

「それぞれの利点を説明して。」

ガイドによる説明が始まる。

2回目以降の召喚の場合、そのままのクラスでいるのであれば、そのクラスの特徴が強化される。

魔術師であれば魔力の上昇。

魔術の威力と魔力消費の軽減ということ。

そして、クラスチェンジの場合、大体は複合クラスになる。

魔剣士や、ネクロマンサーなど。

特殊スキルの修得する幅は広がる。

でも、私が求めているのは……、

「一人でも戦い抜ける力が欲しいの。その場合はどっちがいいか教えて。」

ガイドを睨むようにして言った。

だけど、ガイドは視線を私の後ろへとやって口を開く。

「お仲間がいるのではないのか?」

どうやら私一人で突っ走っていくと思われているらしい。

「俺達はそれぞれが一人でも戦えるぐらいの力を求めてるんだ。」

衛星が皆を代表して宣言した。

「刀夜を取り戻すために。」

櫻さん、菫、メイディアさんが頷く。

ガイドは衛星達の姿を見て、フッと晴れやかに笑った。

「高い代償を払ってまでも力を得たいのならば、シルビア、君は魔術師のままでいるがいい。」

「どうして?」

理由を尋ねる。

「魔術師の上のランクである、魔法使いを目指すといい。

その力は魔力を持って法則をねじまげる。一騎当千の力を持つと言っても過言ではない。」

「それはレベルを上げていけば辿り着けるのかしら?」

「いや、魔法を統べる王を倒すか、譲り受けるしかない。どちらにしても困難ではあるがな。」

どんなに困難であっても私は目的のためには手段を選ばないし、いくらでも非常になる。

自身を犠牲にすることさえもいとわない。

だったら答えは最初から決まっているのだ……。



あとがきっぽいもの。
作者「第2章後半のはじまりはじまり〜。」
リーア「始まりましたね〜♪」
作者「次もシルビア達の話になるかは未定だけど、ばしばし書いていきまーす。」
リーア「頑張ってくださ〜い♪」
                 おわり



お気軽に叩いてやってください、喜びます(笑)


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