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白い世界。

天も地も区別の無いこの世界に、僕は存在する。

立っているのか、座っているのか、浮いているのか、沈んでいるのか、ただ白いだけの世界には何も関係無い。

そもそも何も無いのだろうか?

いや、確かにここに僕は存在している。

それがこの世界が存在する唯一の証拠。

蛍が飛ぶようにふわふわと、白い光が宙を舞い踊る。

夜空に浮かぶ星々のように無数に瞬き、この白い世界をより白く染めあげていく。

眩し過ぎて目を閉じても、それは魂に映し出されて避けられない。

夢現のような思考が、次第にはっきりとしていく。

『よくいらっしゃいました……。』

優しくて、静かな声。

でも、どこから聞こえたきたのか定かではない。

内なのか外なのか。

いくら考えても、もやがかかってしまう。

やはり幻想なのだろうか?

『いいえ。確かにここに存在します。貴方も私も。』

自己の自覚。

自分の存在を確信することが出来たなら、確かに僕はここにいることになる。

でも、なんだか頼りない。

油断すると世界に溶けてしまいそうな感覚。

『今の貴方には器がありません。

器が無ければ、水が指の隙間から溢れてしまうように、貴方の存在自体が世界へと溢れてしまうでしょう。』

それは一体どういうことなの?

もしかして死んでしまうということ?

『そうですね。きっとそれは死と同じことでしょう。』

ダメだよ。僕は死ぬ訳にはいかない。

僕にはまだやらなきゃいけないことがあるんだ。

『……貴方には選択肢があります。』

選択肢?

『一つは、存在の磨耗を防ぐため来るべく時まで眠りにつくか。そして、もう一つの選択は……。』

考えるまでもなく僕は選んだ。

ある一つの選択肢を……。

そして、世界はとても眩しく、きらびやかに瞬いた……。



あとがき無し。



お気軽に叩いてやってください、喜びます(笑)


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